飛行機ネタ 拡大して集約?スペインのエアライン(1月23日 曇りのち晴れ 8℃)


◎1月21日 曇りのち晴れ 8℃

午前中はちょっと重苦しい曇り空で、にわか雪が降った場所もあったようだが、午後からは青空に。

いかにも「冬晴れ」と言った感じで、景色がとても綺麗に見えた。

冬晴れの風景はとても好きで、弱い日差しがどこか寂しげで、それでいて何となく落ち着きを感じさせるような。

風もあまりなかったが、空気はさすがに冷たい。

一昨日二十四節気「大寒」を迎え、1年で最も寒い時期・・と言う、先人の伝えは間違っていない。

子供の頃、この時期になると祖母から毎日1杯の水を飲むように言われた。

「寒水」と言って、この時期の水は最も冷たく澄んでいるから風邪を引きにくくなる・・とか言っていたような気がする。

分かった様な分からないような理屈で、恐らくは殆ど根拠はないと思うが、なるほど単なる水道水でもキンと冷えていて美味しかった。

実際神事でも「寒の禊」として、水を浴びたり海に入るなどの荒行が行われる事が多い。

古代より日本人にとって水は全ての「源」であり、一番冷たい季節だからこそ、当たり前と思っている水に感謝しようと言う気持ち神事や祖母のような伝承が生まれたのだろう。

人間の体は殆どが水分で出来ているし、広大な宇宙において水が「液体」として存在するのは非常にレアなケースであるとされている。

古代ギリシアの哲学者タレスが「万物の根源は水である」と言ったように、最も寒い時期にこそ水のありがたみが分かるのかも知れない。

だが最近、水道水の水を飲む人は少ないように思えるのだが、どうだろうか。

日本の水道水は、世界で最も基準が厳しく全国どこでも直接飲用にしても全くも問題がない。

世界の中では極めて稀で、直接飲めるのは日本を含めて数カ国しかないと言われている。

衛生的にはクリア出来ても、成分的に飲用に適さない場合が多く、良く耳にする「軟水」「硬水」の区別だ。

でも最近はペットボトルのミネラルウォーターや、サーバーなどを購入して飲む人も多いようだ。

確かに成分的に問題ないと言われても、浄水場から家庭の蛇口まで遠い道のりを流れて来る訳だし、マンションやアパートなど集合住宅の場合は一旦貯水槽に貯められ、そこからポンプなどで配水している事もあるので、神経質に感じる人がいてもおかしくない。

でも時々ファミレスなどに行くと、老若男女関わらず提供されるもしくはセルフサービスの水を平気で飲んでいる人が殆ど。

まさかミネラルウォーターを出されているとは思っていないだろうから、普段家や職場、学校ではどうなのだろうと思う。

収まらぬコロナ禍で、家庭はともかく不特定多数が使う蛇口を使うのは気が引けるかも知れないが。

かく言う私も、実は殆ど水道水は飲まない。

ただ衛生面とかではなく、どうも「生水」を飲むとお腹の調子が悪くなるからだ。

不思議な事に、市販されているミネラルウォーターでも同様なのだ。

とは言え、水分をお茶やコーヒーだけで摂る事も出来ず、やむを得ず水道水を「沸騰」させた「湯ざまし」を飲むようにしている。

湯ざましは美味しくないと言われるが、不思議なことに湯ざましだとお腹を下す事がないのである。

しかも家では作った湯ざましを、空いたペットボトルに移し替えて冷蔵庫で冷やしており、それでもお腹は何ともない。

気持ちの問題なのだろうか、湯ざましは母がアドバイスしてくれたことで、今でも続けている。

最も1.5リットル消費するのに2~3日かかることもあるので、適度な水分補給量にはなっていないだろう。

ましてこの時期は汗をかかないし、あまり水分を取り過ぎるとトイレが近くなるので、より補給量が落ちてしまう。

真冬は意外と身体の水分を多く消費する季節で、喉が渇かないから補給量が減る。

女性なら肌の状態で分かるだろうが、知らずに内面も水分不足状態になるから風邪を引きやすい。

喉や鼻が乾燥して、そこからウイルスが侵入しやすくなるのだと言う。

確かに祖母も、寒水を勧めながらそんな事を言っていた。

水でコロナを防げるとは思っていないけれど、基本的な健康管理も予防に繋がると思う。


◎1月23日

雲が優勢ながら、概ね穏やかな日曜日。

冷たい風もなく、気温も8℃まで上がった。

決して暖かいとは思わないけれど、日陰でいつまでも残っていた雪もかなり消えた。

出来ればもう少し日差しが欲しいところだが、良い感じの冬の1日だ。

コロナ禍の再拡大は止まらず、県内でも新たに285人の感染が確認された。

全国では「まん防」の動きが進んでいるが、今日の時点では宮城県・仙台市とも具体的な動きはなかった。

感染者は増加しているが、重症者が少なく措置の基準となる病床利用率はまだ低いからだろうか。

だが明日以降、恐らくは措置要請の動きが出て来ると思われ、県民・市民も「またか」と言う、一種の諦めムードがあると思う。

昨日も今日も、週末で良い天気だったにも関わらず街は人出も車も何となく少ないな、と感じた。

無理やり外出する必要はない・・と思った人も、結構いたのだろう。

一方言い方は悪いが、そんなことはお構いなし・・と言う雰囲気の人もいるにはいる。

差別するつもりはないが、今回の波は感染者の大半はまたも若い人であると言う事。

ワクチン接種が進んでいない10代以下、すなわち子供の感染が多い。

同時に20代・30代の「大人」の割合も多く、県内でも8割近くが30代以下と言う。

0ではないものの、40代以降の中高年は明らかに少ないと言う事実は見逃せない。

仕方ない部分があると思うが、やはり若い人はどうしても「集団」で行動しているし、ついマスクを外して談笑している事も見る。

それは大人でも見られるが、比率では若者の方が多いように思う。

最も大人でも、酔って賑やかにしているグループもいる事はいる。

どうもワクチンを「感染しない」と勘違いしている人が多いのでは?と思うのだ。

今更のはずだが、ワクチンは重症化を防ぐ効果はあるものの、防ぐ効果は分かっていない。

今回無症状もしくは軽症の人が多い所を見ると、ワクチンの効果は充分あると言う反面、いわゆる「ブレイクスルー」も多いと言う事は、勘違いしている人が多いと言う事ではないか。

それに「まん防」措置をすることで、酒類の提供を規制しても、良く考えれば飲食店が根源であると言うのはおかしい。

「飲まれて」いるのは客の方であって、本来客が自制すべきことだろう。

量を控え、少人数、会話中は小声でマスク着用、それを忘れる程飲まない・・・。

そんなことして酒が楽しめるか、と言うかも知れないが、それこそ「あなたの個人的見解ですよね?」ではないか。

むしろすぐに目の敵のようにされてしまう飲食店が、ただただ気のどくではないか。

客商売なので大変だろうが、マナーを守れない客は堂々と排除しても良いと思う。

中には酒と食事を美味しく楽しむ客はいる訳で、楽しみ方も「新しい様式」に変えて行こうとする気持ちを持って欲しい。




夜いつものように買い物に出たが、やはり寒い。

風はないが、その分冷え込みも厳しい。

あと10日もすれば、暦の上では「立春」を迎えるが、冬はまだまだ続く。

この冬は良くも悪くも「らしい」寒さであるように思うが、雪は少なめ。

宮城の場合、大雪の季節はこれからである。

時々耳にする「南岸低気圧」が、これから発生しやすくなるためだ。

西日本から関東は、暖かい為雨が降るが、空気が冷たい東北では雪。

大雨をもたらす場合も多く、それが東北では大雪になりやすいのだ。

ここ数年、温暖化のせいかどうかわからないが、20~30センチも積る雪は記憶にない。

年末以降雪の回数は増えているが、今のところ数センチ程度で収まっている。

寒い冬と言う事は、今後大雪の可能性もある訳だ。





元気ですか?

今日は良い一日でしたか?

体調はどうですか?

風邪など引いてませんか?

寒い日々が続いていますが、大丈夫ですか?

ある程度予想は出来たけれど、コロナ禍がまた騒がしくなっています。

君はどういう環境にいるのか分かりませんが、仕事上不特定多数の人と接しなければならない場合もあるかも知れません。

またワクチンを終えたかどうかも分かりませんが、接種しても感染のリスクは減りつつゼロでもありません。

結果自己防衛策が有効となるでしょうが、なるべく人との接触を避ける・距離を取るなど、普段からの対策を維持して下さい。

君はしっかりしているのでその点の心配はないのですが、仕事などで止むを得ない状況に置かれるのがちょっと心配です。

寒さもまだまだ続きますので、体調管理にはくれぐれも気をつけて下さい。

明日もどうかお元気で。

君に笑顔がありますように。

お休みなさい。




家風は 日に日に吹けど 吾妹子が 家言持ちて 来る人もなし(万葉集巻二十 4353 朝夷郡上丁丸子連大歳)



飛行機ネタ。

スペインは世界的な観光地を持つ事で知られるが、日本人の旅行先としては一番人気と言う程ではないそうだ。

最も人気があるのはフランスとイタリアで、その理由は納得出来るが、スペインが次位なのは至便性の問題もあるのかも知れない。

コロナの影響を除くと、現在日本へはスペインのフラッグキャリアであるイベリア航空が就航しているが、日本側のエアラインでは定期運航していない。

この辺りが日本でのスペイン人気を物語っているように思えるが、どうだろうか。

スペインはヨーロッパ南西端、ユーラシア大陸最西端にあたるイベリア半島の大半を占める国。

半島の西側にはポルトガルがあるが、面積は約50.5万平方キロで、西欧ではフランス・スウェーデンに次ぐ(ヨーロッパ全体では1位がロシア、2位がウクライナ、3位がフランス)。

本土の他、大西洋上のカナリア諸島、地中海のバレアレス諸島、アフリカ大陸にセウタ・メリーリャと言う都市がスペイン領としてある。

人口は約4,700万人、首都はマドリードで都市圏人口は約680万人。

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1-1-1-40 Cuatro_Torres_Business_Area.JPG ↑(3枚)スペインの首都マドリード。上から旧市街、中心部のプラザ・デル・ソル、高層ビルが立ち並ぶクアトロ・トーレス地区(ウィキペディア英語版より)

第二の都市は世界遺産「サグラダ・ファミリア大聖堂」で有名なバルセロナで、約160万人だ。

イベリア半島は西側を大西洋、南側は地中海に面しているが、対岸にはアフリカ大陸のモロッコが控えており、最も幅が狭くなるジブラルタル海峡ではアフリカまで僅か14キロしか離れていない。

1-1-1-40 Gibraltar.jpg ↑ジブラルタル海峡。手前がスペイン。対岸がアフリカ大陸のモロッコ(ウィキペディア英語版より)

この為中世にはイスラム教勢力が海峡を渡って侵入し、アラブ人が支配した歴史もある。

一方で「大航海時代」の先駆けとして、ポルトガルと共に世界進出を図り、中南米の大半を支配下に置いた。

北米大陸を発見したのはイタリア人冒険家のコロンブスだが、元々調査団を派遣したのはスペインである。

広大で食糧から鉱物資源まで何でもある中南米を支配したことで、スペインはヨーロッパ一の大国となった。

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1-1-1-40 Sagrada_Familia.jpg ↑(2枚)スペイン第二の都市、カタルーニャ州の州都バルセロナ。下は世界遺産のサグラダ・ファミリア(ウィキペディア英語版より)

現在中南米諸国の大半が、公用語をスペイン語としているのも、この植民地政策があったからだ。

その為世界で最も広範囲で話者が多いのがスペイン語とされており、南米大陸ではポルトガルの領土だったブラジル、イギリス領だったガイアナ、オランダ領だったスリナム、現在もフランス領の仏領ギアナ以外はスペイン語圏だ。

中米でもイギリス領だったベリーズ以外はスペイン語圏で、いかに影響力が大きかったかが窺える。

だが歴史が長く、国土が広く山がちなスペインは地域性があり、本来「スペイン語」と言う言葉はないとされる。

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1-1-1-40 BCN_AIRPORT.jpg ↑(2枚)マドリードのアドルフォ・スアレス・バラハス国際空港(上)とバルセロナのエル・プラット国際空港(下)(ウィキペディア英語版より)

一般的にスペイン語と認識されるのは首都マドリードがある「カスティーリャ」地方の言葉で、バルセロナがある「カタルーニャ」地方はカタルーニャ語が話されるし、南部ではイスラム時代のアラビア語の影響を受けたアラゴン語や、北部のバスク地方のバスク語などは全く異なる独立した言語として知られている。

最も殆どの国民は「カスティーリャ語」を話せるそうだが、カタルーニャ地方やバスク地方では「別言語・別民族」と言う認識もあり、独立機運やかつては中央政府に対するテロが横行した時代もあった。

また第二次大戦前に権力を掌握したフランコ将軍が、75年まで独裁を行っていたことでも知られる。

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1-1-1-40 IBERIA A340-313X,_EC-HQH.jpg ↑(2枚)退役したB747-200Bの後継機として導入されたA340-300(ウィキペディア英語版より)

冷戦時代「西欧」諸国と言えば、どこも先進国と言うイメージがあった。

私が海外地理に興味を持った小中学生の頃、スペインとポルトガルは「発展途上国」に指定されていたと知って驚いた事がある。

事実スペインがNATOに加盟したのは82年、EC(現EU)に加盟できたのは冷戦終結直前の86年だった。

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1-1-1-40 Iberia_A340-600 EC-LEU.jpg ↑(3枚)A340-300の後継機として導入されたA340-600。20機近くが導入され、フラッグシップとして活躍した。A350と交替する意味で21年に全機が退役したが、数機が保管されており、コロナ禍の情勢によっては「予備機」として復活する可能性もある(ウィキペディア英語版より)

スペインの正式国名は、実はこれと言った決まりがない珍しい国だ。

ただ国王フェリペ6世を国家元首とする立憲君主制であり、「スペイン」の他「スペイン王国」と称される事も多い。

スペインのフラッグキャリアは言わずと知れた「イベリア航空」で、名前はもちろんイベリア半島に由来する。

最もイベリア半島には、ポルトガルとピレネー山脈にあるアンドラ公国があるので、イベリアと名を使うのはちょっとずるい気もするが、スペインのエアラインであることは明白な名称とも言える。

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1-1-1-40 Iberia,_A350-900 EC-NDR.jpg ↑(2枚)スペインのフラッグキャリア、イベリア航空の最新鋭で最大の機材A350-900(ウィキペディア英語版より)

イベリア航空の創業は1927年で、最初の乗客は当時の国王アルフォンソ13世だったと言う。

39年には初の国際線の運航を開始し、44年には国営化され名実ともにフラッグキャリアとなった。

1-1-1-40 Rohrbach_R-VIII_Roland.jpg ↑1927年にイベリア航空が初就航させたドイツ製ロールバッハR-Ⅲローランド(ウィキペディア英語版より)

少し歴史に詳しい人ならば、39~44年は第二次大戦の真っ最中ではなかったか、と思うだろう。

その以前にスペインは内戦で王制が廃止され、ナチス・ドイツよりのフランコ将軍が独裁国家を樹立していた。

大戦中は政治的に「中立」の立場をとり、鎖国の様な立場を取っていた事でエアラインの運航は継続されていた。

最も大戦初期にドイツやイタリアに支配されていた地中海への出入り口を持つスペインは、どちらかと言えば連合国側に接近していた。

先のジブラルタル海峡も、そこに突出している半島は現在も公式にイギリス領になっており、連合軍艦船が海峡を通行するのに圧力をかけられた経緯がある。

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1-1-1-40 IBERIA B757-200-EC-HIV.jpg ↑(2枚)国内線とヨーロッパ域内線で活躍したB727-200とその後継機B757-200。比較的距離の近い北アフリカ方面でも運用され、日本からアフリカへ行く最も便利で早かったのが、イベリア航空利用だった(ウィキペディア英語版より)

戦後は近代化にも力を入れ、終戦直後の46年には大西洋を横断し、アルゼンチンのブエノスアイレスまでの路線を開設した。

フランコ時代は「ファシズム政権」とされて、一種の経済制裁も行われたため途上国になっていたが、長年支配していた中南米諸国との繋がりは現在まで強く、それらの国々との国交はスペインの経済を支える事になっていた。

その為早くから中南米路線を次々と開設し、それに合わせて機材も拡充する必要があった。

日本線は、86年に初めて東京線を開設。

機材はフラッグシップのB747-200で、マドリード~バレンシア~ムンバイ~東京と言う「南回り」ルートだった(マドリード~バレンシア間は国内線扱い)。

1-1-1-40 IBERIA-B747-256B.jpg ↑日本線で運航されていたイベリア航空のB747-200B(ウィキペディア英語版より)

このルートは僅か1年で廃止され、翌年にはアンカレッジ経由に、90年にはモスクワ経由に変更された。

だが需要の低迷、90年代にはスペイン自体が経済不振に陥ったことから98年に日本線は運休した。

2011年に、ブリティッシュ・エアウェイズと共同出資して設立した持ち株会社「IAG(インターナショナル・エアラインズ・グループ)」の傘下に入ることで経営が統合され、現在に至っている。

日本線は16年、実に18年ぶりの再開を果たした。

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1-1-1-40 Iberia_A330-302_EC-LZX.jpg ↑(2枚)日本線再開の時使われたのはA330-200だった。B747退役後、イベリア航空では同機が最大・最長航続距離を持つ機材だった。その為300型より200型の方が多い。現在は北米を含む大西洋路線をメインに運航される(ウィキペディア英語版より)

もちろんマドリードまではノンストップ便で、当初はA330で運航されたが、その後最新鋭機材A350-900に変更されている。

現在イベリア航空は68機保有し、国内外88都市に就航する。

航空同盟「ワンワールド」にも加盟しており、同じ加盟エアラインである日本航空とコードシェア運航も行っており、日本~スペイン間は便利になった。

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1-1-1-40  IBERIA A319-111_EC-KKS_-Retro.jpg ↑(3枚)国内線・近距離国際線の主力A320の旧塗装と現行塗装、レトロ塗装機(ウィキペディア英語版より)

11年の経営統合は、スペインのエアライン事情を大きく変えた出来事である。

それまでのイベリア航空は国営エアラインとして運営されて来たが、90年代後半になるとスペインの経済事情が向上して、逆に同社の経営は苦しくなった。

長年の独裁政権後、王制が復活し立憲君主国として民主化されたものの、国内産業は振るわず先のように発展途上国から抜け出せなかった。

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1-1-1-40 IBERIA A321-EC-JZM.jpg ↑(2枚)A320と並んで、近距離線で活躍するA319とA321。イベリア航空は現在エアバス機に統一されている(ウィキペディア英語版より)

そこで海外からの投資を積極的に呼び込むことで、フランスやドイツ、イギリスなどの大手企業がコストの安いスペインに生産・販売拠点を置くようになり、経済が好転したのである。

また観光にも力を入れるようになり、温暖な地中海性気候を持つスペインはフランスやイタリアと肩を並べる観光国になった。

特にドイツやイギリスなどからの観光客が増大し、それに対応したチャーターエアラインが乱立していた。

本土の他、カナリア諸島やバレアレス諸島のマヨルカ島などは現在も有数の観光地で、スペイン側でもそれを当て込んだ新興エアラインが複数設立された。

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1-1-1-40 Iberia_Express-A320 Cabin.jpg ↑(5枚)経年機を置きかえる目的で導入が進むA320neo。下2枚は短距離線を担当するイベリア・エクスプレスのA320とA321neoとキャビン(ウィキペディア英語版より)

同時にLCCも注目を集めるようになり、マドリードだけでなく、有名な観光地のバルセロナや上記の島などは年間を通じて観光客が多く、格安のLCCを利用する観光客が増大した。

そのおかげで各国で乱立したチャーターエアラインの多くが淘汰されることになるのだが、スペイン国内でも規制緩和が進み、同国初の本格的LCC「ブエリング」が04年に設立された。

ブエリングは完全な民間エアラインとして初めて設立されたエアラインで、スペイン初のLCCでもある。

LCCと言うと、初期には運航コストを極力避けるため、大都市では利用料の高い主要空港を避け、郊外の小さい空港などを使用するのが一般的だった。

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1-1-1-40 Vueling_A320(Disneyland_Paris_-_25_Years_Livery) EC-MLE.jpg

1-1-1-40 VUELING A321 EC-MRF.jpg ↑(4枚)04年に設立された、スペイン初の本格的LCCブエリングのA320とA321。中はディズニーの特別塗装機(ウィキペディア英語版より)

しかしブエリングは利用者の便宜を図るため、敢えて主要空港に就航した。

代わりに機材はリースや中古機材で賄い、コストを削減した。

本拠はマドリードでなく、バルセロナに置き国内だけでなくヨーロッパ域内の国際線運航をメインに据えていた。

この時代にはEU域内では、エアライン就航に関してのボーダーレスが進み、スペイン発着の路線以外の運航も出来るようになっていた事が、同社の躍進に繋がった。

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1-1-1-40 VURLING A320-271NEO EC-NAJ.jpg ↑(2枚)ブエリングのA320neo。格安ながらも利便性やサービスを充実させた事で人気が爆発し、フラッグキャリアであるイベリア航空を脅かす存在になった。保有機数・就航都市数ではイベリア航空を上回っている。長距離路線は持たないが、EU内での営業権を行使してスペイン以外の路線も多数運航する(ウィキペディア英語版より)

運航開始以降、ブエリングの収益は順調に推移した事を鑑みて、イベリア航空は06年に傘下LCCとして「クリック・エア」を設立。

ブエリングに対抗した。

当然価格競争、メディア上での中傷・誹謗合戦と言う醜い争いに発展し、非難は国営のイベリア側に集中した。

結果クリック・エアはブエリングに勝つことができず、イベリア航空自体収益が悪化することになる。

その結果、イベリア航空はIAGの設立とともに民営化される道を取ったのである。

1-1-1-40 A320_Clickair.jpg ↑新興LCCであるブエリングに対抗して、イベリア航空が設立したクリック・エアのA320。だが顧客を奪い返す事は出来ず、IAGグループとなったイベリア航空は、同社とブエリングを統合させた上でIAGグループ傘下に入れた(ウィキペディア英語版より)

それはほぼイベリアグループが独占的だったスペインのエアライン市場を開放することになり、新興エアラインの設立の動きが再び活性化した。

IAGはブエリングに対し、クリック・エアとの統合を打診。当初は買収価格で交渉が難航したが、イベリア航空の足元を揺るがしたブエリングは、IAGグループのエアラインに代わっている。

現在ブエリングは126機保有し、148都市に就航する。機材数、就航都市数ではイベリア航空を遥かに上回る規模のエアラインに成長した。

機材はエアバス機に統一されているが、相変わらずリース機や中古機も多く、コスト削減の一つであるエンジンの統一も行っていない。

一方でA320neoの導入も進んでおり、定時就航率はヨーロッパでは上位にランキングしている。

スペイン以外でも営業権を獲得しているため、他国同士の路線も多数運航していて、アイルランドのライアン・エア、ハンガリーのWIZZ、イギリスのイージージェットとともに大手LCCとなっている。

またイベリア航空と同系列企業になったことで、同社とのコードシェア便も運航しており、各地からスペインへの接続便も多数運航する。

ただ分かりにくいのは、イベリア航空は同社の他に「イベリア・エクスプレス」を96年から運航しており、こちらも本家イベリア航空の接続便やコードシェア便の運航を行っている。

また94年にバレンシアで設立されたリージョナルエアライン、「エア・ノストラム」も「イベリア・リージョナル」としてローカル線を担当しており、自社便・イベリア航空便としても運航する。

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1-1-1-40 Air_Nostrum_CRJ1000 EC-MLO.jpg ↑(3枚)旧塗装のATR-72-600と,新旧塗装のCRJ1000は、エア・ノストラムが運航を担当する。機材も同社が保有するが、イベリア航空便として運航しており「イベリア・リージョナル」の別名を持つ。同社はバレンシアが本拠地(ウィキペディア英語版より)

更に17年には、イベリア航空の長距離LCC部門として「LEVEL」を立ちあげ、主に中南米やカリブ諸国などリゾート路線の運航を開始している。

スペイン本土だけでなく、リゾート地として有名なカナリア諸島やマヨルカ島は、00年代まではチャーターエアラインが数多く飛来したが、最近ではLCCが主体。

ヨーロッパ各地からは、遠くても数時間の距離に位置するため多少窮屈でも格安なLCCで旅行する人が圧倒的に多い。

今でもヨーロッパ諸国の中では、物価も安く気軽に行ける旅行先として人気が高く、他国のエアラインも多くがスペインに就航している。

1-1-1-40 LEVEL,_A330-202,_EC-MOY.jpg ↑スペインで最も新しいエアライン、レベルのA330-200。同社はイベリア航空の長距離LCC部門で、機材のイベリア航空のもの。カリブ海諸国や中米方面の路線を開設した(ウィキペディア英語版より)

イベリア航空がIAGグループになって10年経過し、同社の経営は比較的安定しているが、同時に新興エアラインが同グループの傘下にあり、結果として国営時代と同じくイベリア航空の威力が増している感じもある。

これらのエアラインの他に、カナリア諸島をベースとする「ビンター・カナリアス航空」「カナリー・フライ」がリージョナルエアライン。

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1-1-1-40 ATR72-500_Canaryfly.jpg ↑(3枚)アフリカ大陸西岸沖のスペイン領、カナリア諸島のリージョナルエアライン、ビンター・カナリアスのATR-72-500とE195-E2。カナリー・フライのATR-72-500。カナリア諸島内路線の他、ジェット機は本土線も運航する。カナリー・フライは規模の小さなエアラインで、近年はビンター便としての受託運航を行っている。ビンターの鮮やかなライトグリーン塗装は美しい(ウィキペディア英語版より)

11年にベンチャー企業として設立された「プラス・ウルトラ航空」は、元々チャーターエアラインだったが、近年は大西洋路線の定期運航を行っている。

1-1-1-40 Plus_Ultra A340-313.jpg ↑チャーターエアラインながら、最近定期便の運航も開始したプラス・ウルトラのA340-300(ウィキペディア英語版より)

独立系LCCとして成長しているのは、北部アストリアスを拠点とする「ボロテア」で、こちらも11年に設立された。

同社はヨーロッパで唯一B717を保有していることで知られたエアラインだが、昨年全機が退役しA320シリーズに統一された。

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1-1-1-40 Volotea_Airlines_B717-3BL.jpg ↑スペイン北部アストリアスを拠点に置く独立系LCCのボロテアのA319とB717。同社はヨーロッパで唯一B717を運航するエアラインで知られていたが、21年に退役しA319・320に統一された(ウィキペディア英語版より)

チャーターエアラインから変化したエアラインがあるのも特徴で、「エア・ヨーロッパ」はその代表格。

80~90年代にはイギリスとイタリアを拠点とした同名のエアラインが存在したが、スペインの方は実は無関係。

前者は「Air Europe」と英語表記だが、こちらはスペイン語表記で「Air Europa」である。

最もどちらも元々はチャーターエアラインであるため、より紛らわしいがイギリス・イタリアの方は現在存在しない。

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1-1-1-40 AIR EUROPA B787-9.jpg ↑(2枚9エア・ヨーロッパのB787-8/9。同社はスペインで唯一B787を保有するエアライン(ウィキペディア英語版より)

日本では知名度の低いエアラインだが、名前の通りヨーロッパでは急成長しているエアラインの一つ。

設立は86年で、現存するスペインのエアラインの中ではイベリア航空に次いで古い。

本拠地はバレアレス諸島マヨルカ島の、パルマ・デ・マヨルカ。いかにもリゾート向けチャーターエアラインらしい。

チャーター運航も行うが、現在は定期便の方が多く、スペインではイベリア航空に次いで長距離定期便運航が多い。

系列エアラインとして「エア・ヨーロッパ・エクスプレス」を持ち、国際線の接続便と国内線などの運航を行う。

IAGグループ以外では、最も大きな独立系エアラインでもある。、

保有機数は46機、約50都市に就航している。

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1-1-1-40 Air_Europa_B737-800_(EC-MKL) Mancheter.jpg ↑(2枚)新旧塗装のエア・ヨーロッパのB738-800は、同社の主力機。圧倒的にエアバス機が多いスペインのエアラインの中で、同社は1機も保有していない(ウィキペディア英語版より)

ところが19年にIAGが同社の買収を公表し、交渉に入った。

しかし同社の経営母体である「グローバリアグループ」は、エア・ヨーロッパだけでなく同列企業の旅行会社など全てを売却したい意向だったことから、その金額交渉が難航し、昨年当初のIAGのプランは一旦白紙に戻された。

交渉は継続されることになり、22年中に最終的な結論を出すと言う期限が設けられている。

1-1-1-40 Air_Europa Express,_E195LR EC-LKM.jpg ↑コネクション便と短距離線を担当する、エア・ヨーロッパ・エクスプレスのE195LR(ウィキペディア英語版より)

コロナ禍で今後の状況が把握できない中で、交渉がまとまるかどうか注目されている。

加えてエア・ヨーロッパは、航空同盟「スカイチーム」のメンバーであることも交渉を難しくしているようだ。

ただ同社がIAGの傘下になると、スペインのエアライン事情は再びイベリア航空「一強」の色合いが濃くなり、競争力低下が懸念される。

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1-1-1-40 IBEROJET EC-NBO_A350_Evelop.jpg ↑(3枚)チャーターエアライン、イベロジェットのA330-200と、名称を変更した現在のエベロップが保有するA320とA350-900。ヨーロッパのチャーター専門エアラインとして、初めてA350を導入した(ウィキペディア英語版より)

ボーダーレスが進むヨーロッパ経済は、企業の売却・買収・統合が頻繁に繰り返され、一体どこの国の企業かわからない状況な事が多い。

ブランドだけが残されたかと思うと、いつの間にか消滅してしまうケースも少なくない。

10年代の自由化で、スペインのエアライン業界は成長とともに「戦国時代」の様相を見せていたが、ここ数年でIAGグループに独占されつつあるのが現状だ。

スペイン自体の市場は決して大きくないが、中南米諸国との繋がりを持つ強みもある。

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1-1-1-40 WAMOS A330-243.jpg ↑(4枚)スペインでは大手チャーターエアラインだった、プルマントゥールのB747-400。現在はワモス・エアに変更した。同社はスペインで唯一B747-400を保有するエアラインで、ワモスは最近日本にも飛来してファンの話題になった。
下はA330-200。同社はスペインと関係ないチャーター運航にも熱心で、民間だけでなく軍関係のチャーターフライトも行っている8ウィキペディア英語版より)

長距離国際線の多くは、いずれのエアラインも中南米諸国に重きを置いており、これらの国々にとってもスペインは重要なパートナーである。

特に反米感情が強い国では、スペインを通じて先進国と繋がるケースが多い。

キューバやベネズエラは、特に反米国家で知られるが、同時に最貧国でもあり、海外との交流・交易は限られている。

1-1-1-40_AlbaStar B737-800.jpg ↑マヨルカ島のパルマ・デ・マヨルカをベースにするチャーターエアライン、アルバスターのB737-800(ウィキペディア英語版より)

事実定期便を運航するのはイベリア航空を始めとするスペインのエアラインだけ、と言う国もあるくらいだ。

そう言う意味で、ヨーロッパだけでなく広大な中南米へ影響力を持つのがスペインのエアラインとも言え、今後もその役割を持ち続けることになるだろう。

だが国内事情の変化が大きいのも事実で、最終的にはIAGとイベリア航空に収束して行くのかも知れない。



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