飛行機ネタ B757はとてつもなく「ぶっ飛んだ」旅客機だった(3月14日 曇り一時晴れ 14℃)

※2日分の日記を掲載します。

◎3月12日 晴れ 17℃

抜けるような青空に、仙台は今年一番の暖かさ。

ちょうど土曜日、どこか出かけたくなるような陽気だった。

しかし見た目とは裏腹に、終日西寄りの風が強く、その風はまだ冷たくて体感的に「暖かい」と言う印象はなかった。

私にしては珍しく、土曜午前中と言う時間帯に駅前に出た(ここで言う「駅前」は地元「泉中央」の事)。

所用があったからなのだが、ショッピングセンターは買い物客で溢れていた。

午後からすぐ近くの「ユアスタ」で、サッカーのホームゲームが開催されたからのようで、久しぶりにサポーターさんの混雑を見た気がする。

昼前とあって、一般の買い物客とサポーターが混在してフードコートは満席だった。

私は混雑を避けたいので、そこはスル―して来たが、いかにも休日の風景であった。

最もサッカーだったからの混雑で、そうでなければあれほど混雑しなかったのかも知れない。

長引くコロナ禍で密を避ける事が、知らずに身についてしまったのか、今や週末・休日の賑わいは見れなくなった。

県内では毎日600~700人前後の新規感染者が出ているが、何となく「普通の風邪」という意識に変わっている気がする。

だとすればこれまでの緊急事態宣言や「まん防」は何だったのか、と思うが、それがあったからこそ対処が可能になったと言う事かも知れない。

風が強かった事で、花粉の飛散も多かったのではないか。

我が家のベランダからは、約1キロほど先の杉林が見える。

先月中旬ごろまでは、赤茶けた色が見えていたが、今日見ると緑色の方が多くなっていた。

どうやら今日の風も含めて、あらかたが飛散したようである。

すっかり葉の色ではないので、まだしつこく残る花粉もあるらしい。

私は「慢性アレルギー性鼻炎」なので、「花粉症」になった事はない。

乾燥した空気、急な温度変化があると鼻がグズグズし始め、くしゃみと鼻水が止まらなくなる。

特に朝起きた後が顕著で、寝ている時間に鼻の粘膜が乾き、起きると刺激されるのかグズグズする。

そして身体がすっかり目覚め、行動を起こして暖まる頃に気付くと止まっている。

故に年間通して症状が現れ、夏場でもエアコンの効いた涼しい部屋に入った後に症状が出ることもある。

時には1日中くしゃみと鼻水が止まらず、翌日には全くなんでもないと言う事も珍しくない。

もしかしたら花粉症も患っているのかも知れないが、いつもの事だから判別できないのだろうか。

でも今日は外にいてなんでもなかったし、逆にずっと家にいるにも関わらず止まらない事もあるので、やはり体質的なものだろうと思う。

テレビでは「花粉症とコロナの症状は似ている」なんて言っていたが、そんなことを言い出したらきりがない。

ならば以前から「普通の風邪」だと思われていたのが、実はコロナだった可能性もある訳だ。

元々咳やくしゃみは「エチケット」として啓蒙されて来たけれど、今はついやってしまうくしゃみも憚られてしまう。

世知辛いとは事ことで、推すつもりは毛頭ないが、エチケットを守りつつ鼻をかんだりくしゃみするくらい自由にしたい。

うっかり市中でくしゃみなどすると、見ていなくても周囲の視線が刺さって来るのが分かる。

花粉症の方は、ただでさえ辛いだろうに、世間の目を気にしなくてはならないのだから、何かが間違っている。

好きで花粉症になった人はいないのにね。



◎3月14日

気温は14℃まで上がったが、なぜか暖かさは感じない。

終日曇り空が優勢で、時折薄日が射す程度。日差しの温もりがないのだ。

遠くを見ると、今日も白く霞んでいた。

春霞なのだろうか、それとも「花粉」なのか、わからない。

関東から西では気温が上がり、東京では24℃と「夏日」一歩手前。

全国では、九州で28℃まで上がった所もあったと言う。

この気温ならば上着が要らないどころか、シャツ1枚、半袖でも良いくらいだ。

気象庁の指標によれば、20℃前後なら春物の薄い上着、25℃までなら長袖シャツ1枚、それ以上で半袖が適していると言う。

小学校高学年から中学生のころは、成長期で暑がり。

今では考えられない程動き回るから、春は暖かいと言うよりも暑い季節に思えた。

暑いと言うよりも上着などが邪魔な訳で、4月を迎えた途端に半袖で出歩いていた記憶がある。

中学校では、5月末まで制服。今と違ってあの分厚く窮屈な「学ラン」だったので、制服は大嫌いだった。

しかも社会問題になったほど「校則」が幅を利かせていた時代で、登下校時は暑くても学ラン着用が義務付けられていた。

下校時は校門を出てしまえば脱いでも問題ないが、朝はしっかりと教師が「服装チェック」に立っていた。

ちゃんと着なさい・・と諭してくれる教師はまだ良い方で、大声で怒鳴り叱責する男性教師も珍しくなかった。

今であれば完全なパワハラ、暴力行為としてただでは済まされないだろう。

最も学校とは、教師とはそういう存在だと思っていたから、怒られないようにしていれば何の問題もなかった。

だから学校が見えて来たら学ランを着て、教室に付いたら脱げばよかった。

不思議な事に校内では学ランを脱いでも良い事になっていたから、当時の校則はやはり理にかなっていない威圧行為だったのだろう。

でもその後校則が改正され、今と同じように体操服での登下校が許されるようになってホッとした。

だから制服は1年ぐらいしか着た記憶がなく、殆ど体操服で過ごしていたように思う。

一度薄着になってしまうと、最初こそ違和感があるけれどすぐ慣れてしまうのが子供。

今などうっかり調子に乗ると、すぐ体調に響くから困ったものだ。

一時的な高温傾向のようだが、九州では桜の開花も始まりそう。

仙台の開花予想は4月5日、例年より数日早い見込みだが、どうだろう。

この冬は雪の日が多く、寒かったから春が待ち遠しい事に代わりはない。



今日は「ホワイトデー」。

先月バレンタインがあったばかりだと思っていたのに、1カ月は本当に早い。

スーパーのセンターコートに設けられた特設会場では、週末からたくさんのお客さんが群がっていて、当日の今日はかなり品数が減っていた。

この催時は1月後半から続いていて、2月14日以降は「模様替え」して今日まで続けられた。

しかしよく見ると、バレンタインの時と全く同じ商品、包装を変えただけ・・と思える商品があり、ちょっとずるいのでは?

私は今、もらう事もあげる相手もいない。

母の仏前にでも・・と思ったが、賞味期限が来れば食べるのは自分。

菓子メーカーの策略なんて悪口もあるけれど、季節感と言う点で目くじら立てる程でもないだろう。

それを横目で見るしかない者には、ちょっと寂しくもあるけれど。

夜は霧雨。

傘を差す程ではないが、遠くの夜景は白くなって見えないくらい。

今年初めての霧雨ではないか。

雪ではない事が、少しでも春に近付いている証拠だ。



元気ですか?

今日は良い一日でしたか?

体調はどうですか?

風邪など引いてませんか?

君は花粉症、大丈夫ですか?

経験がなくとも、突然発症する人もいるようですので、注意して下さい。

体感的にはまだ寒いですが、春の足音も日ごと大きくなっているようです。

君は、今年の春をどう迎えるのでしょう。

もう春と言ってドキドキワクワクする世代ではないでしょうが、気持ちだけでも楽しい春を迎えられると良いですね。

そう言えば、君と一度だけ公園を散歩したことを思い出します。

桜の時期は過ぎていたけれど、コブシの白い花が綺麗だったと記憶しています。

今年、君もどこかで春の花を見ることでしょう。

寒暖差が大きくなっていますので、体調管理にはくれぐれも気を付けて下さい。

明日もどうかお元気で。

君に笑顔がありますように。

お休みなさい。



あしひきの 山櫻花 日並べて かく咲きたらば いと恋ひめやも(万葉集巻八 1425 山部宿禰赤人)



飛行機ネタ。

先日、アメリカの新興エアラインのネットニュースに目が留った。

そのエアラインは「ノーザン・パシフィック航空」と言って、アラスカ州を本拠地とするLCCだ。

昨年設立されたばかりで、22年中の就航開始を目指すと言う。

しかもアメリカ国内だけでなく、国際線として羽田・中部・関空への就航も計画中と発表された。

長引くコロナ禍の中、新しいエアライン設立とは強気が企業だと思う。

同社によると、LCCながらもアラスカを拠点とすることで長距離路線が必然となるので、メジャー並みの高品質サービスを目標としているそうだ。

日本とアラスカでは、あまり需要がないように思えるが、拠点となるアンカレッジで本土線との乗り継ぎをスムーズにするスケジュールを組むと言う。

格安とは言え、日本とアメリカ本土は直行便がバンバン飛んでいて、それこそ需要に疑問を持ってしまう。

だがロサンゼルスやニューヨークと言った大空港は、混雑が恒常化しており、外国人の出入国には多くの手間と時間を取られる。

それに比べ旅客便の少ないアンカレッジで出入国審査を受けた方が圧倒的に早く行え、乗り換えしても大差ない・・と言うのが同社の主張。

遠回りになってしまうが、直行便も通常はアラスカ付近を通過するので、ハンデは小さいと見ているようだ。

そして注目すべきは、公表に当たって納入されたばかりの「初号機」も公開されたことだ。

オリジナル塗装が施されたのは「B757-200」。

一瞬「え?」と見間違えかと思ったが、確かにB757だった。

もちろん中古機で、同社は既に12機のB757を確保しており、就航まで大半が揃うとしている。

中古機を導入することで、初期投資を少なくしたと言う事だろうが、近年LCCと言えばB737やA320が定番。

またリース運用も一般化しているので、新造機を導入しやすい時代なのだが、あえて中古機。しかもファンをうならせるB757なのである。

同機は04年、すなわち15年も前に生産が終了しており、それだけの時間が経過してでの「新規757ユーザー」が登場したのである。

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1-1-1-48 B757-200 ICELANDAIR-Tf-fir.jpg ↑(2枚)北欧アイスランドのフラッグキャリア、アイスランド航空のB757-200。現時点で20機保有し、1機はリース中。同社はB767-300やB737-MAX8なども保有しているが、最大勢力で主力機はB757だ。最初に導入して以来30年以上経過し、程度の良い中古機と入れ替えしつつ運用を続けている。ウイングレットを付けた機体が大半を占めており、退役計画もない。小国の為殆どが国際線で、ヨーロッパと北米線で活躍する。フルサービスキャリアだが、首都レイキャビクで乗り継ぎ割引を設定することでヨーロッパ~北米間の利用客も多い。上記のノーザン・パシフィック航空も、アイスランド航空の方式を参考にしたと言う(ウィキペディア英語版より)

B757はボーイングが開発した双発ナローボディ機で、原形機は82年に初飛行。

83年、ローンチカスタマーだったアメリカのイースタン航空と、ブリティッシュ・エアウエイズで運航を開始した。

初飛行以来、今年はちょうど40周年を迎えた事になる。

同機は日本でもお馴染みで、まだまだ現役を続ける「B767」の姉妹機としても知られている。

元々両機は3発ナローボディの傑作機「B727」の後継機として、短・中距離機として開発がスタートした。

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1-1-1-48 B757-200 Eastern_Air_Lines_N504A.jpg ↑82年のイギリス、ファーンボロ航空ショーに出場したB757原形機と、ローンチカスタマー、イースタン航空のB757-200(ウィキペディア英語版より)

それは70年代半ばの頃で、ちょうど「オイルショック」など国際情勢が複雑化した時代。

結果燃費の良い経済的な旅客機が求められようとしていた時期でもあったが、技術もまだ途上にある時代でもあった。

エンジンや航法機器もまだまだ「アナログ時代」であり、事故やトラブルを重ねての進化中であった。

その為かボーイングとエアラインとの間で、意見が食い違い機体のコンセプトさえままならない状態だった。

ただもたついている間に、低燃費・低騒音・高出力の高バイパスエンジンの実用化が進み、コンピューターの実用化も目処が立った事で計画は再び動き出した。

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1-1-1-48 B757-236,_British_Airways_.jpg ↑(4枚)ローンチカスタマーの一つ、ブリティッシュ・エアウエイズ。同社にとって初めての本格的双発ナローボディ機で、域内路線の他長い航続距離を活かして中近東やアフリカなど中距離国際線にも投入された。エンジンは「国産」のロールス・ロイス「RB211」で、ボーイング機としては初めて外国製エンジン搭載でローンチした。意外と知られていないが、初期に生産されたRB211搭載型は「RB211-535C」で、その後出力・燃費を改善した「RB211-535-E4B」に変更された。上3枚の機体のエンジンナセルは、全体的に丸みを帯びテールコーンが露出しており、B747-200/300/SPで採用されたタイプと同型。4枚目は主力となった「535-E4B」エンジンで、ナセルはテールコーンまで覆った流線型になっている。この形状は現在の「トレント」シリーズまで受け継がれている、ロールス・ロイスの伝統。尚「535C」エンジン搭載機の中には、後で「E4B」に換装した機体もある(ウィキペディア英語版より)

最も当初はB727の胴体を延長し、エンジンを換装した3発機が計画されており、さらにワイドボディ機とナローボディ機の2案が提出されていた。

将来性を考えると、どちらも甲乙つけがたく、結局両方を設計することになった。

そしてワイドボディ機がB767、ナローボディ機がB757として開発されたのである。

両機の設計はほぼ同時と言われているが、B757の方は最後まで双発か3発か決定せず、しまいには折衷案として双発機なのにリアジェット式の様な「T字尾翼機」になりそうであった。

1-1-1-48 BOEING_AIRPLANES_-_757_AND_767.jpg ↑設計開始前に描かれたB757のコンセプトイラスト。双発機なのにT字尾翼を持っていた(ウィキペディア英語版より)

これはエンジンなどの信頼度が、エアライン側ではまだ賛否両論があったためで、2発のエンジンは主翼につけていながら、要望があれば尾部にもう1発付けて3発機にできる・・と言う、正直苦しい言い訳的なプランだった。

もし3発機が実現していればDC-10やトライスターの様な形で、双発機ならば何の意味があってのT字尾翼?みたいな変な旅客機になっていただろう。

結局ごく普通の形態にすることで決着が付いたが、2機種の同時開発もボーイングにとっては初めてのことだった。

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1-1-1-48 B757-256_-_Iberia_-_EC-HIS.jpg ↑(2枚)フィンランド、フィン・エアとイベリア航空のB757-200は「中型機」としてヨーロッパ域内幹線や中近東、南アジア方面など多彩な路線で運用された。00年代以降はチャーター運用も活発で、フィン・エアの757は日本のツアー会社と提携して複数回飛来している。その多くは地方空港で、初めてのヨーロッパ機になった空港も多かった。塗装は旧塗装だが、現行塗装変更前に退役した(ウィキペディア英語版より)

そこで開発コストを少しでも抑制できるように、B767と部品の共通化を図った。

座席数も、イースタン航空はB727の後継機種としてほぼ同格の180席級を望んだが、ブリティッシュ・エアウエイズは経済性を考慮し一回り大きい200席級を望んだ。

また興味を示したエアラインも、北米系は180席級、チャーターエアラインが多いヨーロッパでは200席級を望む声が多かった。

高出力エンジンを持つ事もあって、融通性を兼ねてやや大きめの方が良いとの結論から200席級とされ、座席数だけでは4発機のDC-8やB707に匹敵する「大きなナローボディ機」になった。

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1-1-1-48 B757-200_Delta_Lines_N717TW.jpg ↑(4枚)100機以上が現役にあるデルタ航空は、現在同機の最大運用者でもある。自社発注機の他、統合した元ノースウエスト航空機も多数残存している。北米メジャーでは珍しく、エンジンはPW2000を採用したエアライン。老朽化した初期の機体は順次退役しているが、757自体の退役計画はまだない。ほぼ全機がウィングレットをレトロフィットさせており、キャビンのリニューアル工事も進んでいる。数年前までは、ノースウエスト航空の後を継いで日本とミクロネシア線も運航していた。ノースウエスト時代と同じく、本国から回送した757が成田に数機常駐していたが、利用客減少で路線自体撤退してしまった。日本から定期便として乗れる貴重な757であった。現在は国内線の他、ヨーロッパ線や中南米線などの国際線でも運用されており、キャビンも国内線仕様と国際線仕様がある(ウィキペディア英語版より)

767と部品の共通点が多い事は、製造コストつまり機体価格へも反映されるメリットをもたらした他、北米系のエアラインは767を発注している事も多く、維持コストの抑制にも効果があった。

こうして完成したB757は、いざ出来あがるとかなり「ぶっ飛んだ」旅客機であった。

それは短中距離旅客機としての常識を、全て覆すようなある意味「ごつい」機体だったのだ。

唯一「常識」として踏襲されたのはキャビンの幅で、最大3.54メートルはB707以来現在のB737MAXまで受け継がれる伝統の幅。

故に標準的な座席配列は3-3の6列が基本で、これ自体に目新しさはない。

にもかかわらずB757は、その外観とスペックは明らかに一線を画す「ぶっ飛んだ」旅客機であった。

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1-1-1-48 B757-22L_AZERBAIJAN.jpg ↑(2枚)現役にあるトルクメニスタン航空と、アゼルバイジャン航空のB757-200(ウィキペディア英語版より)

基本型であるB757-200の全長は47.3メートル、これはB767-200とほぼ同じだ。

ナローボディ機で比較すると、B737-400は約36メートル、800型は39.5メートル。

現時点で最も胴体の長い900ERでも約42メートルで、757の方が5メートル以上も長い。

開発予定となっている「B737-MAX10」でさえ、43.8メートルである。

加えてDC-8-62、B707-320Bよりも757の方が「大型」なのである。

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1-1-1-48 B757-200 LA COMPAGNIE F-HCIE.jpg ↑(2枚)筆者が最も格好良いと思うB757、フランス、ラ・コンパニー。同社は中古のB757-200を2機導入し、オールビジネスクラス、僅か74席と言う豪華仕様でパリ・オルリー~ニューヨーク線を運航した。20年にA321neoLRに置き替えられ、この刺激的なメタリックブルーのB757は姿を消してしまった(ウィキペディア英語版より)

数値だけみると、意外にもB727-200が約46メートルもあるが、これは3発機の上垂直尾翼の後端が大きく張り出している為で、キャビンを含む「有効長」では757よりはるかに小さい。

また全高は約14メートルもあり、767よりも1.8メートル短いだけである。

翼幅は38.5メートル、767と同じく下面にも膨らみを持たせた「スーパークリティカル翼」が採用されたが、後退角は約25度と767より浅くなっている。

これは上記のように、B727の後継機種として短中距離機として設計されたからで、空気抵抗低減による高速化よりも離着陸性能を重視した結果だ。

1-1-1-48 B757-200_Lofting.jpg ↑B757-200を上方から見る(ウィキペディア英語版より)

巡航速度も、平均でマッハ0.78~0.8程度に設定されており、これはB737などと同レベルにある。

エンジンは当初767と同じくGE製のCF-6系を予定していたが、ナローボディ機としてファン径を小さくするなど設計上の変更が必要で、GE社が難色を示したことから除外された。

代わりにP&W社が軍用として新規で開発していた「F117」エンジンを民生用とした、「PW2000」シリーズが採用された。

1-1-1-48 B757-200 Northwest_Airlines.jpg ↑PW2000エンジンを搭載したノースウエスト航空のB757-200。同エンジンは定格出力のオプションがあり「2037」「2040」「2043」の3種類がある。ファン径はRB211よりやや大きく、出力も若干大きい(ウィキペディア英語版より)

ボーイングではこのエンジンだけを予定していたが、ローンチカスタマーであるブリティッシュ・エアウェイズが自国製である「ロールス・ロイスRB211」を希望した。

同エンジンは従来の2軸構成タービンではなく、3軸構成を特徴とする大口径高バイパスエンジンで、燃費に優れたエンジンであった。

元々70年代に開発された、ロッキード社初のジェット旅客機「L-1011トライスター」用に開発されたエンジンだったが、新機軸を持たせたことで開発が遅延、費用もかさみ、それが原因でロールス・ロイス社は破綻してしまった曰くつきのエンジンである。

同社はイギリスにとって重要な国策企業で、一時国有化することで莫大な資金をつぎ込んでなんとか再生させたが、英米間の政治問題まで発展してしまう騒動を起こしていた。

1-1-1-48 B757-200-TF-FIK.jpg ↑RB211-535-E4Bエンジン。今でこそA320neoやB737MAXで、胴体に比べて大きいエンジンは当たり前になったが、757登場時は「異常な」大きさであった。その為ナローボディ機にも関わらずワイドボディ機並みの出力を持つ、バケモノ的な旅客機だった。RB211エンジンは極めて優秀なエンジンだったが、開発時に大赤字を出していた。757では費用回収の目的もあって比較的安価で提供された為、生産数の7割以上がRB211装備だった。また767に比べて細長い主翼と、それに占める割合の大きいフラップの様子がよくわかる(ウィキペディア英語版より)

そのこともあってか、ボーイングも同エンジン搭載型にはすぐ応じることになり、最終的にはつぎ込んだ資金を回収できるまでになっていく。

RB211自体は非常に優秀なエンジンで、トライスター以後B747にも搭載されていたが、最初からイギリス製エンジン搭載型でローンチしたのは、ボーイング機では757が最初であった(767は後から追加)。

757に搭載されたRB211は、747や767に搭載された物より推進ファン径が一回り小さいが、基本は同じだ。

しかしPW2000もRB211も、本来ワイドボディ機を含めた大型機用として開発されたエンジンであり、ナローボディの757に搭載されること自体異例であり、その姿も奇異であった。

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1-1-1-48 B757-200 Air_Baltic.jpg ↑(2枚)アイルランドのフラッグキャリア、エア・リンガスとラトビア、エア・バルティックのB757-200。エア・リンガスのB757は、初めて大西洋横断運航を行ったが現在はA321neoLRと交替した。エア・バルティックも、現在はA220に機種を統一している(ウィキペディア英語版より)

初期の757には有名なエピソードがあり、アメリカのとある空港で757の後に着陸予定の小型プロペラ機が、突然コントロールを失い墜落すると言う事故が発生した。

事故直前にパイロットが乱気流にぶつかったらしき事を報告していたが、その日の天候状況は良好でレーダーでも乱気流が発生した形跡はなかった。

ただやや風が吹いてはいたが、離着陸に問題がある訳でもなかった。

ところが詳しい調査の結果、小型機の墜落原因は前方を飛ぶ航空機の「後方乱気流」に巻き込まれた可能性が指摘された。

1-1-1-48 B757-200_F-HTAG_-_La_Compagnie.jpg ↑正面から見たB757。ナローボディ機らしかぬ長い脚、大口径のエンジンが細い胴体と対照をなす。一見アンバランスだが、スタイルだけでも枠を超えた「ぶっ飛び旅客機」だと分かる(ウィキペディア英語版より)

ジェット機は後方に高熱の空気を噴き出して飛ぶため、その部分では乱気流が起きやすくなったり空気の密度が急激に変化して、後続機に危険を及ぼす可能性がある。

なので空港周辺では、前後の航空機が一定以上の間隔を保つよう管制されている。

間隔は機種によっても決められており、4発機などの多発機の後方はより間隔を取らなければならない。

だが管制側は機種まで把握していない事があるので、指定された機種では誘導時にコールサインと便名に大型機を意味する「Heavy」をつけ加える事が義務化されている。

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1-1-1-48 B757-200-Jet_2_.jpg ↑(2枚)B737やA320が主流のLCCにあって、珍しくB757を運用するイギリスのLCC、ジェット2。上はツアー企画の特別塗装機。同社の正式名称は「JET2.com」。ドット・コムまで社名にするエアラインは同社が最初。現在9機のB757を保有し、近い将来A321neoへの交替が予定されているが、今しばらくは現役に留まる。胴体側面のコピー(宣伝文句)は数種類ある。シルバーとレッドの塗装は格好良いが、ヨーロッパLCC特有のコピーは若干騒々しい(ウィキペディア英語版より)

757はナローボディ機の中型機であるから、当然「Heavy」は不要のはずだった。

しかしPW2000とRB211エンジンは、元々ワイドボディ機用の大型エンジンであり、その後方気流もまた同格であったのである。

事故後757に対しては、「Heavy」をコールするようになった。

いかに同機が常識外れの、パワフルな機体であるかを裏付けるエピソードと言えよう。

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1-1-1-48 B757-224,_United_Airlines_N48127.jpg ↑(5枚)コンチネンタル航空とユナイテッド航空のB757-200。コンチネンタル航空はB727の後継機としてB757を導入した為、日本~ミクロネシア線でも運航した。期間は短かったが、地方空港でも定期便として飛来した貴重なB757だった。意外にもユナイテッド航空は自社発注機は少なく、現在保有する757は200・300型とも全て統合した元コンチネンタル航空機。全機がウイングレット装備に改修されていて、200型は約30機、300型は14機保有する。200型に関しては数年以内に退役が予定されている。かつての自社発注機はPW2000エンジンを選択していたが、コンチネンタル機は200・300型ともRB211エンジンだったため、現在はこちらに統一されている(ウィキペディア英語版より)

またこのようなエンジンを搭載出来たのは、767と共通化させた脚の効果も大きい。

見逃されがちだが、757の脚は他のナローボディ機では見られない独特の物である。

767とほぼ共通の為長く、地上高はかなりある。

しかも主脚は2軸4輪のボギー脚で、ナローボディ機では4発機だけでしか見られず極めて珍しい形態を持つ。

1-1-1-48 B757-200  ICELANDAIR TF-FIV.jpg ↑アイスランド航空のB757-200。767と共通の脚は、ナローボディ機としては最も長く、地上高も高い。主脚は2軸4輪のボギー脚で、レトロフィットされたウイングレットと合わせると一見ナローボディ機には見えない重厚感があって格好良い。事実機体総重量はトップクラスで、ワイドボディ機並みの飛行性能を持つ(ウィキペディア英語版より)

だがこの脚のおかげで機体重量を引き上げる事が出来、それは燃料搭載量の増加も可能にさせた。

コクピットも完全に767と共通化されており、パイロットのライセンスも共通であり、もちろん2人乗務機である。

飛行特性も限りなく767に近づけられており、両機を積極的に導入した北米系のエアラインでは人員コスト削減も実現した。

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1-1-1-48 B757-200_Uzbekistan_Airways.jpg ↑(2枚)アビアンカ航空、ウズベキスタン航空のB757-200。後者は現役で、日本へ定期便・チャーター便での飛来歴もある(ウィキペディア英語版より)

操縦システムもほぼ767と同じで、フライ・バイ・ワイヤ機ではないがスポイラーだけフライ・バイ・ワイヤ化されており、エルロンとして使えるよう左右独立して作動できる。

コクピット周辺はやや「垂れた」ような形状になっているが、これもパイロットが視覚的に767との違和感を減らすためだ。

コクピットの軸線は、機体のそれに比べて2度程下方に向けていて前方視界が広く取られている。風防も767と同じ形状にしてとことん共通化を意識した設計になっている。

視界に優れたコクピットは好評で、狭いローカル空港での取りまわしやすさも追随していた。

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1-1-1-48 B757-200 Delta.jpg ↑(2枚)B757の特徴の一つ。「垂れ下がった」コクピット。当時としては斬新なデザインで、どこか現在のB787を思わせる(ウィキペディア英語版より)

そして757最大の特徴は、航続距離の長さである。

上記のように以前の4発機並みの大きさが、燃料搭載量を増やし、燃費に優れたエンジンと相互作用が生まれたのである。

200型の最大航続距離は、実に7,400キロにも及び、80年代前半の時点では驚くべき数値であった。

やや先に世に出た767のおかげで、いわゆる「双発機の時代」が到来し、当然757にも目を向けられるようになった。

長距離洋上飛行規制「ETOPS」緩和を、757はナローボディ機として初めて取得し、大西洋横断路線に各エアラインが投入した。

北米とヨーロッパ間の場合、アメリカ側は東海岸から西ヨーロッパであれば757は余裕で直行できる。

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1-1-1-48 B757-200 American_Airlines_N185AN.jpg ↑(5枚)最も多くのB757-200を導入・運用したアメリカン航空。全米どこの空港でも必ずその姿が見られたほど、「757と言えばアメリカン」と言う時代もあった。延べ150機以上を運用し、国内線はもちろん、ヨーロッパ線、カリブ海、中南米路線の中核として幅広く使われた。しかし19年に始まったコロナ禍で機材のリストラを余儀なくされ、20年全機が一斉に退役に追い込まれた。後継機としてA321neoXLRを発注している(ウィキペディア英語版より)

機体の総重量は大型ワイドボディ機はもちろん、767と比べても軽く、座席数もB767-200とは大きな差がないことから、757は経済性の高さがより実証されるとともに、「姉」である767の売り上げを阻害する存在にまでなってしまった。

結果767葉、胴体を延長した300型で名誉を回復することになるのだが、今度は757へも胴体延長の計画が持ち上がる。

同機はヨーロッパで盛んだったチャーターエアラインからの人気が高く、座席数の増加を望まれていた。

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1-1-1-48 B757-28A_TUI.jpg ↑(3枚)イギリスの大手チャーターエアラインだったモナーク航空とタイタン航空、トムソン航空、ドイツ・TUIのB757-200。B737やA320より座席数が多く、航続距離の長いB757はチャーターエアラインからも歓迎され、特にチャーターエアラインが多数存在したイギリスでは人気があった。しかしLCCの台頭で00年代以降、ほとんどのエアラインは統合・倒産などで姿を消した。その中で残っているのがタイタン航空とドイツのTUIで、同機も現役で運用されている。タイタン航空の757は不思議なオレンジ色の「円」が描かれているが、これは土星の衛星「タイタン」をイメージしたもの。ところがあまり知名度がなかったと見えて、最近では消されてしまう機体が増えている。TUI機はトーマス・クックグループ、トムソングループなどで運用されていたが、最終的にTUIグループに一本化されている(ウィキペディア英語版より)

ボーイングでは200型の発展型として、航続距離延長型とやや胴体を伸ばしたタイプを検討していた。

ただ航続距離に関しては充分であるとなり、胴体を延長した「300型」が96年に初飛行。99年ドイツのコンドル航空が初就航させた。

200型から14年も経ってからのバリエーション展開も極めて異例で、言い換えればいかに200型が優れた機体であったかを物語る。

300型の全長は約7メートル延長して、約54.5メートルとB767-300とほぼ同じ長さ。

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1-1-1-48 B757-300 ARKIA-4X-BAU.jpg ↑(2枚)99年に運航を開始したドイツ、コンドル航空とイスラエル、アルキア航空のB757-300。コンドル航空の300型は現在も現役で活躍中。アルキア航空機は02年、チャーター便としてケニア・モンバサ空港を離陸した直後、イスラム過激派と思われるテロリストからミサイル攻撃を受けた。ミサイルは命中せず、乗客も攻撃には気付かなかったという。目撃者によるとB757-300は機体後部から「花火の様な物」をまき散らしていたとされ、対空ミサイルを回避する装置「フレア」を発射したのではないかと言われているが、イスラエル政府は否定している。尚現在757は退役し、A321LRと交替した(ウィキペディア英語版より)

座席数は200型が最大で230席であるのに対し、300型では280席とB767-300は元よりA300に匹敵する輸送力を持つ。

だったらワイドボディ機で良いのでは・・と疑問が湧くが、パイロットや客室乗務員のライセンスは同じであり、需要に応じて機材を使い分ける事が出来る。

また欧米の空港、特に国内線専用・チャーター便が利用する空港では環境規制が厳しく、大空港でありながらワイドボディ機の運用を禁じる空港もあった。

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1-1-1-48 B757-300 UNITED N78866.jpg ↑(4枚)アメリカで最初にB757-300を受領したのはコンチネンタル航空で、ユナイテッド航空は1機も発注していない。しかし両社の統合によって、ユナイテッド航空が全機を引き継ぎ現在まで運用を続けている。

ならばワイドボディ機並みの座席数を持つ300型であれば、さらなる需要増が見込めるとして生産が決定したのだった。

しかし同機のデビュー後、再び国際情勢の悪化・不安定化の時代を迎え、世相は「ダウンサイジング」化へ傾き始めており、300型の受注は伸びなかった。

期待された200型の大手ユーザーだったアメリカン航空やユナイテッド航空が、あまり興味を示さなかった事も販売に影響した。

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1-1-1-48 B757-300 DELTA N588NW.jpg ↑(4枚)ユナイテッド航空と同じく、200型のヘビーユーザーだったデルタ航空も300型は発注しなかった。コンチネンタル航空と同じくして発注したのはノースウエスト航空で、やはり両社の統合後デルタ航空が全機を引き継いだ。翼端のウイングレットは、コンチネンタル航空が何機か取り付けユナイテッド航空が残りを取り付けたが、ノースウエスト航空は改修しなかったためデルタ航空が全機に施している。エンジンはコンチネンタル・ユナイテッドがRB211、ノースウエストとデルタがPW2000を選択して綺麗に分かれている。尚TWA、USエアウエイズ、アメリカ・ウエスト航空などが使っていた200型は、エンジンが異なっていたため、ユナイテッドとデルタがバーターした機体が存在し、それぞれエンジンを統一させている(ウィキペディア英語版より)

ボーイングでは「737NG」、エアバスもA320シリーズが好調であった事も災いした。

300型では、コクピットを737NGと同じ完全なグラスコクピットを装備する計画もあったが、運用上デメリットの方が大きいと言う事で見送られ、座席数以外目新しいとは言えない機体に見られてしまった。

同時に好調だった200型も、販売が落ち込み、04年中国の上海航空に最後の機体が納入され生産を終了した。

総生産機数は1,050機で、このうち913機が200型、貨物専用型の「200PF」が80機、300型が55機だった。

この他米空軍がVIP輸送機及び人員輸送機として、6機を発注し「C-32」として生産されている。

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1-1-1-48 B757-200 C32-B.jpg ↑(3枚)アメリカ空軍のC-32AとC-32B(中)。C-32Aは4機あり、大統領専用機VC-25A「エアフォース・ワン」に倣って「エアフォース・ツー」として、随行する副大統領や国務長官が搭乗する。大統領の海外訪問では、必ず2機のC-32Aが同行するが、不測の事態に備えて現地到着時間や場所、ルートは公表されない事が多く「エアフォース・ワン」より秘匿性が高いと言える。また単独で運航される事も多いが、その時も「エアフォース・ツー」として飛ぶ。C-32Bは旅客機とほぼ同じ仕様で、米国市民の避難や人道支援に使われる。その為民間登録記号を持っていて、軍用機として敵の「標的」にならないよう敢えて真っ白のボディになっている。尚A型はPW2000エンジンだが、2機のB型はRB211エンジンを装備している。下はKC-10Aから空中給油を受けるC-32B。空中給油をするB757の姿はある意味凄い(ウィキペディア英語版より)

ボーイングは受注減少を理由に生産停止したが、実際には運用中のエアラインの多くは反対意見が多かった。

改めてB757のバリエーションを見てみると、基本型である200型、胴体延長型の300型、そして大型のサイドカーゴドアを持つ貨物型200PFの3種しか存在しない。

他に旅客型の200の胴体前部を貨物室、後部に客室を残したコンビ型「200M」が生産されたが、これはロイヤル・ネパール航空(現ネパール航空)が発注・受領した1機だけ生産されている。

また200型を中古機から貨物機に改造した「200SF」と、ごく少数の「200MSF」が存在するが、いずれも新造機ではない。

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1-1-1-48 B757-200M Nepal_Airlines_9N-ACB.jpg ↑(2枚)ファンの間では「激レア機」として人気がある、1機だけ生産された貨客混載型の200M。ロイヤル・ネパール航空が発注した機体で、ネパール航空に改称後も現役に留まっている。前方左側にサイドカーゴドアを持つ。客室窓が残されたままだが、貨客両用ではなく完全な貨物室として使われる。94年、関空開港時に初めて就航し、日本では現在まで唯一定期運航で飛来したコンビ型である。現在再開した日本線はA330-200で運航される(ウィキペディア英語版より)

何よりも特徴的なのは「ER」や「LR」と言った、航続距離延長型が存在しない事である。

実はボーイングには、「200ER」「300ER」の構想自体はあった。

机上プランのみで終わってしまったが、燃料タンクを増加させ200型で最大8,500~9,000キロ、300型で最大8,000キロ前後が可能と見積もられていた。

00年代初頭まで、これだけの長距離運用はワイドボディ機が常識であった。

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1-1-1-48 B757-200-Far_Eastern_Air_Transport Camry.jpg ↑(6枚)日本を始め、旅客需要の高い時期に差し掛かっていたアジアでは757はあまり人気がなかった。中国国際航空(上2枚)の運用期間は短く、現在は貨物機に改造され数機が現役に残る(3枚目)。中国南方航空(4枚目)、中国西南航空(5枚目)の200型はチャーター便ではあったが初めて日本に飛来した記念すべき757であった。下は台湾・遠東航空の200型で、日本車「トヨタ・カムリ」を描いた特別塗装機。日本にチャーター便で飛来した事がある(ウィキペディア英語版より)

機体の性能よりも、ナローボディ機である事で乗客のストレスに対応できないとされていたからである。

長距離運用となれば、トイレやギャレーを増やし、食料品の搭載量も増え、乗客の荷物を含む貨物も増える。

ところが757は幅こそ標準的なナローボディだが、胴体の上下寸法が大きく、キャビンの高さはワイドボディ機並みを持っていた。

床下貨物室も一般的なコンテナは積載出来ないが、B737よりも遥かに容積は大きい。

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1-1-1-48 B757-200PF-Cargojet.jpg ↑(3枚)純貨物型の200PF。757の貨物型は新造機として生産された「PF」と、旅客型を改造した「SF」がある。外観上の違いは殆どないが、内装の都合でSFの方が積載量がやや少ない。UPSはPF・SF合わせて75機保有し、世界で3番目に757を持つユーザー。DHL機は中米パナマに本拠を置くエアロ・エクスプレッソの機体で、最も新しい200PFの1機。下はカナダ、カーゴジェットの200PF(ウィキペディア英語版より)

しかしこの時代に、ナローボディ機での長距離運用は商業的に難しいと見られていたのである。

だがエアラインの中には、その性能や使い勝手の良さを重視する向きが多く、757の生産停止に反対したのである。

特に多数の757を運用していたアメリカの「レガシー」、アメリカン航空・ユナイテッド航空・デルタ航空・ノースウエスト航空・TWAなどは、国内線のみならず中距離国際線の主力として使っていた。

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1-1-1-48 B757-200SF DHL_(European_Air_Transport_Leipzig_-_EAT).jpg ↑(2枚)中国の貨物エアライン・SF航空と、ヨーロピアン・エア・トランスポート・ライプツィヒのB757-200SF。前者は元中国国際航空機、後者は元ブリティッシュ・エアウェイズ機。DHLはグループ全体で50機近い757PF・SFを運用するが、全て委託したエアラインの機体。この機体のエンジンは初期生産型の「RB211-535C」エンジンで、現在同社が唯一保有・現役にある(ウィキペディア英語版より)

757はB727の後継機として考えられていたが、実際にはDC-10・トライスターなどの中距離用ワイドボディ機の後継機種であった。

実際これらのエアラインは、中南米方面やヨーロッパ線の多くに757を投入しており業績が良かった。

さすがに10時間以上と言う長距離路線はなかったが、5~8時間程度であれば大きな問題は起こらず、むしろ便数を増やして利便性を上げていた。

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1-1-1-48 B757-200 TABAN AIRLINES-Ep-tbi.jpg ↑(2枚)ロシアのLCC、アズール航空、イラン・ターバーン航空のB757-200。まだ少数派だが、旧ソ連構成国や途上国でも近年757が増えている。長年の制裁でアメリカ機を導入出来ないイランでも、最近は第三国経由で購入され始めており、ターバーン航空の757もトルコもしくはロシア経由で導入されたようだ。イランにとっては就航後40年を経て、初めてのB757である(ウィキペディア英語版より)

大西洋路線では、主要都市間だけでなく二次的大都市(アメリカならばフィラデルフィア、ボストン、ボルチモアなど)の路線で直行便運航が可能であった。

その為「ER」を作らずとも、通常型で充分収益性の高い運航が確立していたのである。

00年代以降、767と同じく主翼端にウイングレットをレトロフィットさせる改修が開始され、767よりも多くの機体・エアラインで改修され、燃費が5%程改善し、航続距離も伸びた。

原形機が初飛行し、生産終了まで20年を超えたにも関わらず、基本的なバリエーションは3種しかないのは、それだけ優れた性能を有していたからに他ならないのである。

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1-1-1-48 B757-200 Sunday_Airlines,_UP-B5704.jpg ↑(2枚)カザフスタン、サンデー・エアラインズのB757-200。同社は事実上メインキャリアであるSCATの系列子会社で、主にチャーター運航を手掛けるが、SCAT便として定期運航も行っている。日本への初のカザフスタン機として飛来している。一見ヨーロッパ辺りのエアラインを思わせる明るくポップな塗装が印象的(ウィキペディア英語版より)

わざわざ「ER」を作らなくとも、双発ナローボディ機としては稀有とも言える長距離性能を、40年前に既に実用化していた。

考えてみれば、これは先見の明を通り越してかなり「ぶっ飛んだ」設計思想であった。

同機を多用したエアラインの多くは、その卓越した性能にほれ込んで生産停止後も運用を続けている。

現在生産数の約半数がまだ現役にあると思われるが、コロナ禍の影響で急速に数を減らしつつある。

20年まではアメリカン航空が最大の100機以上を保有していたが、コロナ禍で一気に全機を退役させると言う荒技を起こした。

現時点ではデルタ航空が200・300機合わせて約120機保有し、老朽化した機体を除いて退役計画はない。

同社は現在キャビンの改装を順次行っているが、757も改修の対象になっており、一方で退役が予定されるB767は対象外となっていることからも、同社の757に対する評価が窺われる。

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1-1-1-48 B757-200F_FEDEX N918FD.jpg ↑(2枚)約100機保有するフェデックス。大半の機体が旅客機から改造したSFで、エンジンはRB211に統一している。同社では今後も増備を予定しており、長期に渡ってB757を運用する事が決まっている。長距離運用は出来ないが、北米・カリブ諸国・中南米・ヨーロッパ域内、そして中国や東南アジア域内と世界中に展開している(ウィキペディア英語版より)

その次に多いのがユナイテッド航空で、同社も200・300型両方を保有。

200型に関しては25年ごろを目処に退役が予定されているが、300型についての退役計画はない。

この他貨物機のみであるが、フェデックスが約100機、UPSが75機で運用しており、今後中古改造機での増備も予定している。

生産停止後「ポスト757」を巡って様々な憶測が行き交って来たが、ボーイングは未だ明確な答えを出していない。

同社は開発を予定している「B737-MAX10」を後継機種としているが、座席数は757より少なく、航続距離は約6,000キロ程度と遠く及んでいない。

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1-1-1-48 B757-258_Sun_d-Or_International_Airlines_4X-EBT.jpg ↑(3枚)イスラエルのフラッグキャリア、エルアル航空と系列チャーターエアライン、サンドールのB757-200。エルアル航空は比較的初期からB757を運用し、主にヨーロッパ線の主力として活躍した。サンドールの機体は、エルアル航空旧塗装のままの機体。現在は退役したが、政府専用機として数機が空軍(航空宇宙軍)に移籍して現役に留まっている。これらの機体の中には複数のアンテナやバルジが追加された、見るからに「怪しい」757が目撃されており、VIP機もしくは電子戦機、空中指揮機としての機能を持たせていると思われる(ウィキペディア英語版より)

一方ライバルのエアバスはそれに目を付けて、「A321neo」をベースとした航続距離延伸型の「LR」の生産を開始、さらに長距離能力を向上させた「XLR」をローンチした。

757を全て退役させたアメリカン航空は「A321neoXLR」を大量発注しており、座席数や航続距離では757と同格になると見られている。

世間では、しばらく新機開発が行われていない事に着目し、「797」となるであろう新型機は、757の発展型になるのでは?と噂が絶えない。

ボーイングでは「現時点で新型機開発の計画はない」と否定しながらも、「757を改良した機体も考え得る」と非公式ながら答えていると言う。

かなりざっくりした言い方で、現況を見ると実現は難しそうだが、A321neoの売り上げが絶好調である事は重要だろう。

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1-1-1-48 B757-Hekla_Aurora_cabin_757.jpg ↑(3枚)アイスランド航空のB757-300。現在2機保有し、上のオリジナル塗装は自社発注機。中はアイスランド国旗をモチーフにした特別塗装機で、元アルキア航空機。下はキャビンで、200型も共通のインテリアを持つ。照明にはLEDを使い737NGで採用された「スカイ・インテリア」に準じた改修を行っている(ウィキペディア英語版より)

今のところ「B737-MA10」で対抗できると、表向き豪語しているようだが、胴体全体の意匠が737はまるで別物であり、長距離長時間飛行には適していない。

仮に757を改良するならば、エンジンを新しい物に交換する、操縦システムの全フライ・バイ・ワイヤ化とコクピットの更新、一部素材の複合材適用による軽量化などが考えられ、0からの新設計よりは遥かに安く開発できよう。

デルタ航空やフェデックスはそう訴えているようで、独自でのリファインも視野に入れているようだ。

1-1-1-48 Boeing_757-200_DELTA 2.jpg ↑デルタ航空、B757-200の国内線用ファーストクラスのキャビン。最近全面リニューアルが進んでいる。LED照明の他、オーバーヘッドストウェッジがB777、B787と同じ現代版に改修されている。同社の757は国際線用、300型ともリニューアルが行われている(ウィキペディア英語版より)

比較的生産数が多かった事で、中古機も多く、アイスランド航空のように従来運用して来た機体と交替させたり、新機材として導入するエアラインも、ここ数年現れている。

日本では何故か導入したエアラインがなく、ファンの間では「レア機」扱いされていると言う話もあるが、外国エアラインの飛来は意外と多い。

座Qン念ながら現在、日本へ定期便として飛んで来る757はないが、つい最近までデルタ航空がミクロネシア線に投入していたし、コンチネンタル航空もミクロネシア線で運用していたB727の代わりに、同機を日本各地に飛ばしていた。

この他短期間ではあったが、ロイヤル・ネパール航空、ロイヤル・ブルネイ航空も日本線の定期便で運航していた事があるし、チャーター便としては、羽田・成田・関空以外の地方空港に、複数のエアラインがかなりの頻度で飛来している。

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1-1-1-48 B757-200 ICELANDAIR TF-FIO.jpg ↑(2枚)B767と共通のコクピット。パイロットもライセンス共通で操縦できる。初期の機体はブラウン管が用いられていたが、300型では最初からLCDが標準化されている。既存の200型の多くもLCDに変更されている。下はアイスランド航空が独自に改修したコクピットで、パイロット前面の航法関係のディスプレイが大型化され、従来の縦に2枚ではなく横2枚にレイアウトが変更された。この改修はデルタ航空、フェデックスでも行う予定(ウィキペディア英語版より)

生産を停止した04年から15年以上も経つのに、数を減らしているとは言え現役であるという事実。

先に書いたように、以前から同機を運用し中古機を導入して入れ替えするエアラインまであると言うのは、他に代わる機材がないと言う認識があると言う事だ。

757は作りも堅牢だと言われ、現役機を見ても綺麗に保たれている機体が殆どだ。

1-1-1-48 B757-200 Cabo_Verde_Airlines,_D4-CCG.jpg ↑激レア機、アフリカ西部、大西洋上の島国カボベルデのフラッグキャリア、カボベルデ・エアのB757-200。アイスランド航空からリースしている機体で、たった1機だが同国唯一の長距離機だ。19年から運用を開始、B757の「最も新しいユーザー」の一つでもある。スイーツを連想させる様な綺麗で可愛い塗装が印象的。今風の塗装だと設計の古さを全く感じさせない、新しい旅客機に見える。それだけデザイン・性能とも先見性に卓越した機体でもある(ウィキペディア英語版より)

機体そのものが老朽化していることは止むを得ないが、アメリカン航空のようにA321に切り替えるエアラインがある半面、なおも757を支持するエアラインが多く存在すると言う事実がある。

改めて見ると、B757は極めて特殊なナローボディ機であることが分かる。

簡単に言えば、ワイドボディ機の性能を持つナローボディ機と言える機体で、限界を引きだしたのとは違う。

極論だが、姉妹機767の胴体を取り換えただけ・・の様な性格を持つ。

胴体の長さのバリエーションは、ほかの機体でも良く見られる事であるし、珍しい所ではA330と340のように機体自体は全く同じながら双発と4発のバリエーションと言う事例もある。

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1-1-1-48 B757-200 -RNZAF-757-pegasus.jpg ↑(2枚)ニュージーランド空軍のB757-200SF(M)。中古旅客機をコンビ型に改造した機体で、VIP輸送の他、下のように南極基地への物資・人員輸送にも使われている。同機は史上初めて南極に離着陸した「旅客機」のタイトルを持ち、従来のプロペラ輸送機に比べて高速、搭載量、航続距離とも大きく、堅牢な作りで性能をいかんなく発揮している。自国だけでなく、日本を含む各国の調査隊の輸送にも従事している(ウィキペディア英語版より)

ただナローボディとワイドボディ、と言うのは757と767が唯一で、いかに特別な機体であったかと言う事だ。

性能的にも80年代に開発された機体としては、異色と言うだけでは物足りない程独立したカテゴリーの機体なのである。

1-1-1-48 B757-223,_American_Airlines_N186N.jpg ↑ナローボディ機とは思えない、迫力のスタイルを持つB757(ウィキペディア英語版より)

40年経っても、その性格が受け入れられている機体は他に見ない。

止むなくA321に流れるエアラインもある中、757の改良型に期待を寄せているエアラインもまた、決して少なくないのである。

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