月命日/飛行機ネタ 35年間変わらないB767-300はレジェンド級(2月28日 曇り時々晴れ 10℃)

※2日分の日記を掲載します。

◎2月25日 晴れ時々曇り 8℃

やっと穏やかな青空を見る。

気温も上がって、寒さもやや和らいだ気がするが、午前中は雪が飛んだ時間もあり、空気はまだ冷たい。

予報では明日以降、移動性高気圧が張り出して「小春日和」になると予想されている。

数日間は気温二桁が予想されており、いよいよ花粉の飛散もありそうだ。

いつしか2月も終盤、春の兆しが見えても良い頃。

今年は春が早いと聞くが、正直長期予報はアテにならない。

今日も気象庁は夏の長期予報を発表し、「猛暑」になる可能性が高い・・と言っていたが、毎年言っている。

確かこの冬は、「全国的に気温、積雪量は平年並み」と言っていた気がするが?

これからの時期は、まさに「三寒四温」の季節で、このまま春になるとは思えない。

最近の様な厳しい寒さや雪は、絶対このままで終わらないと思った方が良い。

「春の沫雪」かも知れないが、「まだ3月」なのである。

北国の春は、4月以降。

記録的な積雪の北海道は、今日も交通機関の乱れが続き、完全復旧の見通しは立っていない。

気温が上昇すると、雪崩を筆頭に新たな「雪害」が発生する可能性もある。

住宅の屋根から落ちる雪も、融けかかって重くなっているし、背丈以上に積った道路の雪が突然崩れて車や歩行者を巻き込む可能性もあるだろう。

一気に融けた雪で、思わぬ「水害」になる場合もあるかも知れない。

災害はいつでもどこでも起こり得るけれど、雪や寒さの被害はあまり耳にした事がない。

都市部ではせいぜい交通障害だが、この冬の大雪は思わぬ被害が出るかも知れない程だった。


◎2月28日

週末は「春の高気圧」が張り出し、先日までの厳しい寒さと雪の日々が嘘のように思われた。

仙台も何カ月ぶりに気温が二桁に達して、「小春日和」と言う言葉が相応しい。

この言葉、改めて見ると実に素敵な響きを持つと思う。

本格的な春はまだ先だが、そろそろ冬も終盤を迎え「春が見え隠れしているよ」と言う意味を含んでいる。

だから「小さな春」であり、そう思える心和む日・・なのだ。

天の邪鬼見たいだけれど、逆に見れば春は近付きつつあるけれど、冬はまだ続くよ・・と言う意味もあるように見えて来る。

事実土曜日は気持ち良い天気だったが、昨日は日中寒冷前線が通過し雨が降った。

気温は二桁に届いたが、前線の通過前後はかなり強い風が吹き夜まで続いていた。

風自体は冬そのもので冷たく、前線が通過した夜は結構寒かった。

今日も曇りがちで日差しの温もりは感じられず、今度の週末以降はまた強い寒気が南下して寒く雪も降りやすくなると予想されている。

でも関東より西では「小春日和」が続き、梅の開花が進んでいるらしい。

この冬は西日本でも寒く雪が多く、平年より10日から半月ほど遅れているそうだ。

仙台は北国のせいか、梅の花はあまり見かけない。

公園やお寺などで植えているところはあるが、一般住宅の庭先とか道路沿いなどで見かける機会は少ない。

初めて奈良に行った時、ちょうど3月上旬の事で、梅は真っ盛りだった。

最初に見たのは「薬師寺」で、ここはたくさんの梅が咲く事でも知られている。

紅梅・黄梅・蝋梅・・・知識として頭の片隅にはあったけれど、実際「イッキ見」したのは初めてで、その可憐な美しさに一目ぼれしてしまった。

そしてほのかに匂う甘い香りも、実に感動的だった。

しかしあちこち動き回ると、奈良では梅はごくポピュラーな樹木であり、どこにでも咲いている事に驚いた。

我が国最古の文学「万葉集」には、梅の花を取り上げた歌が非常に多く、飛鳥・奈良時代では「春を告げる花」として親しまれていたことが分かる。

日本の春と言えば「桜」だが、桜が広く浸透したのは平安時代以降の事である。

当時の桜は原生種である「ヤマザクラ」が主流で、春の花ではあるがどちらかと言えば地味な存在であった。

「ソメイヨシノ」を筆頭とする現在の桜は、薄い上品なピンク色を咲かせるが、もちろんこれらはヤマザクラを品種改良した桜だ。

ヤマザクラ自体は、街中や公園で見かけることも多いが、花は色が濃いけれど小さく、花と葉が同時に出る。

その為満開になっても、どこか「葉桜」のように見えてしまいパッとしないのも事実。

それに比べて梅は見た目がとても可憐で、色数も多いことから、より親しまれていたのだろう。

実際には春真っ盛りの時期ではなく、冬の終わりに咲く花であるが、「春そのもの」ではなく「春を告げる」と言う事が良いと思う。



今日は母の4年11ヶ月目の「月命日」。

来月は5周忌、祥月命日を迎える。

毎月感じることだが、月日の経つのは本当に早く、もう5年近くになるとは思えない。

人からどう思われようとも、未だ母を失った悲しみは癒えることがない。

母を思い出さない日はないし、気付くと話しかけて独りごとを言っている。

旅立ちがあまりに突然だったので、今も母のいないこの年月は長い夢を見ているのではないか・・と思う。

私にとって、母はまだ「記憶」ではない。

そして「記憶」にしたくない。

普段から仏前に花を供えているが、ちょうど春らしい花が売っていたので買って来た。

薄いピンク色が綺麗な「スイートピー」と紫色で花の大きな「トルコキキョウ」の花束。

母は植物が好きで、花や樹木の事は結構詳しかった。

以前戸建に住んでいる時は、私はしょっちゅうホームセンターに付き合わされて苗や肥料を買っていた。

最も気まぐれな所もあって、手入れはあまりマメではなかったようだが。

私はさっぱり興味を持たなかったが、付き合わされたおかげで花の名前ぐらいはいつしか覚えている。

いつもは仏花だからと必ず菊を供え、母が好きだったカーネーションも添えるようにしているが、たまには違う花も良いだろうと思う。



元気ですか?

今日は良い一日でしたか?

体調はどうですか?

風邪など引いてませんか?

2月は今日で終わり、明日から3月です。

冬はまだ終わりませんが、3月と聞くとそれだけで春の近付きを感じます。

君にも私にも、3月はいろんな意味がある月です。

でも少しずつ春が見えて来る時には変わりなく、辛い事も思い出になっていくようです。

勝手ですが、やはり3月と言うと君の事を思い出さざるを得ません。

今日は母の「月命日」でもありますが、君はもう母の顔を覚えていないでしょうか。

母が逝って、間もなく5年を迎えます。

いくらか暖かい日が続きそうですが、週末以降はまた寒さが戻ると言います。

体調管理には、くれぐれも注意して下さい。

空気も乾いていますので、喉や鼻などの調子も気をつけて下さい。

明日もどうかお元気で。

君に笑顔がありますように。

お休みなさい。



時は今 春になりぬと み雪ふる 遠山のべに 霞たなびく(万葉集巻八 1439 中臣朝臣武良自)





飛行機ネタ。

あまり例えは良くないのだけれど、テレビでよく「大食い」の人を見ることがある。

有名なのはタレントのギャル○○さんだが、一見どこにでもいる様な小柄な女性にもかかわらず、一度に何キロと言う単位のご飯をペロリと平らげる。

それを繰り返しても太ることはもちろん、体調は全く崩さないのだから、彼女の胃袋はドラえもんの「四次元ポケット」!とツゥッコミたくなるほどあっぱれである。

最近では彼女だけでなく、10代・20代のアイドルなどの中でも大食いの人がいて驚く。

共通しているのは女性が圧倒的で、実は男性は大食い出来ない事が多いのだそう。

専門的な事はわからないが、食べてから消化するまでが異常に早く、かつ余計な栄養を吸収しないのでどんどん食べれるとか。

一方男性は「貯め込みやすく」、意外と大食いできず食べ過ぎれば胃腸の調子を崩しやすく、太りやすいのだとか。

正に「人は見かけによらない」の典型的事例・・と言えるのではないかと思う。

旅客機でも、その典型例がある。

日本ではどこの空港でも見ることが出来、利用した事も多いであろう「ボーイング767」だ。

同機がデビューしてから、約40年もの月日が経つが、現在も現役にある旅客機である。

1-1-1-46 B767-381(ER),_ANA JA611A.jpg ↑全日空のB767-300ER(ウィキペディア英語版より)

通常息の長いモデルは、基本型から発展・改良型で進化して行く事が多いが、B767の場合40年間で増えたバリエーションは基本型を含めて僅か3種類だ。

カテゴリーが違うので単純比較はできないが、デビュー後半世紀を経たB737は現在まで11種類のバリエーションがあり、30年経ったA320シリーズも7種類存在する。

最大級の旅客機であるB747でも、形だけで5種類あり、サブタイプを含めれば倍増する。

B767は形として基本型である200型、胴体を延長した300型と400型があり、それぞれ航続距離延伸型として「ER」のサブタイプを持つが(400型はERしか存在しない)、機体自体は僅か3種類しかない。

逆に言えば、バリエーションを増やすほどの必要性がなかった魅力の薄い機体・・・と思われがちだが、実際にはそうでもないのである。

最初の生産型である200型は81年に初飛行したが、メインとなる300型は86年に初飛行した。

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1-1-1-46 B767-300_ANA JA8977.jpg ↑(2枚)B767-300のローンチカスタマーは日本航空で、全日空も直後に発注。初就航は日本航空だが、どちらも87年に日本の空へデビューした。今年でちょうど35年目だ。就航当時日本航空は「鶴丸にレッド&ブルー」塗装だったが、既に新塗装のデザインが決定しており、ごく短期間で姿を消している。全日空機は200型の導入に合わせて採用された現行塗装で、国内線専用機だったため胴体のロゴは「全日空」と漢字だけだ(ウィキペディア英語版より)

2番目のバリエーションとしては、約5年後とやや間隔が開いているが、300型を最初に発注したのは日本航空である。

受け取りと就航も同社が最初で、87年に国内線でデビューしている。

300型がデビューして、今年で35年を迎える訳だが、やや遅れて導入を開始した全日空と共に、同機は実に35年間も運用が続いている稀有な機材なのである。

もちろん初期に導入された機体は退役しているが、入れ替えすることで「B767-300」と言う単一モデルとしては、唯一である。

バリエーションモデルも含めると言う点では、B747も長期に渡って運用されたが、今やB767がその記録を更新している。

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1-1-1-46 B767-300_ANA USJ.jpg ↑(2枚)座席数の多さと経済性から、300型は200型とともに幹線からローカル線まで全国に就航した。90年代から流行した特別塗装機も、同機が率先して選ばれた。それまでは宣伝効果の大きいB747が多かったが、767のおかげで地方空港でも見られるようになり、その効果は大きかった。上から初の全面特別塗装機となった全日空の「マリンジャンボJr」、「ポケモンジェット(初代)」「USJ」。今こそ極薄のフィルムを使うラッピングが主流だが、当時はまだ機体に直接ペイントされていた為、比較的長期間運用される事が多かった(ウィキペディア英語版より)

B767-300は200型の胴体を約6.3メートル延長した「ストレッチ型」で、これまで1,200期以上生産されたB767の中で、大半を占めている。

B767は、元々「中型の中距離機」と言う、いささか半端な目的のコンセプトで作られた旅客機だ。

70年代、アメリカでは航空需要が高まったのとは裏腹に、オイルショックなどで運航コストが高騰し、経済性が強く求められるようになっていた。

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1-1-1-46 B767-300_JAL JA8236.jpg ↑(2枚)日本航空の300型は、最初の11機がP&W製「JT-9D7R4D」エンジンを装備していた。同社が多数保有していたB747やDC-10と同系列のエンジンだったからだ(ウィキペディア英語版より)

最も需要の多い近中距離用の機材は、B737やDC-9と言った「短距離機」、3発機B727が中距離機として活躍していたが、その上になると一気に大型ワイドボディ機であるDC-10やトライスターしかなかった。

更にB727や737が近い将来老朽化することを踏まえ、これらの後継機種として開発が行われたのがB767の原形だった。

その為機体のアウトラインがなかなか決まらず、当初はB727の発展型として3発機が予定されていた。

その度に計画がとん挫しそうになり、開発は予定以上に遅れたが、そのかいもあって全く新しいコンセプトの旅客機が出来上がった。

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1-1-1-46 B767-300_ANA JA602A 3.jpg ↑(4枚)現在まで使われる全日空の「トリトンブルー」は、B767-200導入時に合わせて変更された為、300型も全て「トリトンブルー」で納入されている。00年代に特別塗装機として70年代の「モヒカンルック」と呼ばれるレトロ塗装機が登場し、大きな話題を呼んだ。オリジナルで塗装された事はないはずなのに、美しいスカイブルーと全日空の「社章」であるダビンチマークが描かれたB767-300は、実に良く似合っていた。スレンダーなB767だと不思議とレトロ感が感じられない(ウィキペディア英語版より)

キャビンの通路は2本のワイドボディ機と同じ構造だったが、胴体の直径をやや細くし、座席の並びはワイドボディ機の標準とされた8~10列より少ない「7列」と言う、異例のレイアウトを持つことから、ボーイングは「セミワイドボディ」と呼ぶことにした。

これは経済性を重視した結果のアイディアで、驚きを持って迎えられたが、同時に機体の利便性と言う意味では疑問を持つエアラインも少なからずあった。

同機を求めたのはアメリカン航空やユナイテッド航空と言った、アメリカでは大手エアラインだったが、当時これらのエアラインは規制緩和前で、多数の路線は持つものの、国内線と近距離国際線が主流だった。

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1-1-1-46 B767-300ER DELTA N185DN.jpg ↑(2枚)200型からB767を使い続けるデルタ航空。上は300型で現在は退役したが、300ER(下)は50機以上が現役にあり、現時点で旅客機として最も多くのB767を運用している(ウィキペディア英語版より)

故にナローボディ機とワイドボディ機の「中間サイズ」が歓迎された訳だが、長距離性能は求められていなかった。

なので長距離国際線を「牛耳って」いた世界最大のエアライン、パンナムを始め海外のエアラインは興味を示さなかったのだ。

特にパンナムは、同機の新しいシステムや機体そのものの経済性は認めたものの、「セミワイドボディ」に関しては否定的だった。

同社が指摘したのは、胴体直径が全くの新規格となることで、床下貨物室に搭載する共通規格の航空コンテナが積載出来ないことだった。

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1-1-1-46 B767-300ER-Azerbaijan_Airlines,_4K-AZ82.jpg ↑(2枚)現時点で6機のB767-300ERを保有するアゼルバイジャン航空の新旧塗装。旧塗装はソ連時代を思わせるデザインだが、現行塗装はカスピ海をイメージさせるダークブルーが全面に施されている。筆者が最も格好良く・美しいと思うB767の一つ。模型で手元に置いておきたいとも思うほど、秀逸なデザインだ(ウィキペディア英語版より)

ワイドボディ機が搭載する「LD-3」規格のコンテナは、ワイドボディ機ならば並列に積載出来るのに対し、B767では1列でしか搭載出来なかった。

ボーイングもそれは充分承知の上で、開発の段階でB767に適応したやや小さめの「LD-2」と言う新規格のコンテナも同時に開発。

LD-2ならば並列で搭載できるようにしていたのだが、それは運用するエアラインが余分なコストを負担する事でもあった。

B767「専用」のコンテナだけでなく、空港での機材なども更新する必要があったためだ。

国内のエアラインも既に承知の上ではあったが、パンナムの主張の影響力は大きく、当初セールスは予想以上に伸びなかった。

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1-1-1-46 B767-383-ER,_Scandinavian_Airlines_LN-RCH.jpg ↑(2枚)90年代日本線の主力として飛来していたスカンジナビア航空のB767-300ER。就航時は最も長距離を定期運航するB767でもあった。日本線は後継機種としてA340に交替したが、しばらくは中距離線で活躍し、末期には現行塗装に変更された。日本へ現行塗装の同機が飛来した事はなかった。同社はノルウェー・スウェーデン・デンマーク3国の共同エアラインで、機材も各国に登録されている。日本線はコペンハーゲン発着だったので、主にデンマーク籍の機体が中心であった。画像の機体は上の旧塗装機が「OY」でデンマーク籍、現行塗装機が「LN」でノルウェー籍(ウィキペディア英語版より)

それがようやく動き始めたのは、300型の計画が具体化してからであった。

B767は、ボーイングとしては初めて海外のメーカーと「共同開発」の形で設計された機体で、機体の製造もサプライヤーが生産分担する方式が取られた。

特に日本とイタリアは開発段階から参加しており、部品の生産も多くの割合を受け持っていた。

当時ボーイングは、日本の開発・生産分担が大きいことから、同機を「ボーイング・ジャパン」製とする事を提案していたと言われる。

すなわち日本に現地法人を設立し、いわば「日本製」として売り出すと言うことだった。

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1-1-1-46 B767-300ER_Icelandair.jpg ↑(3枚)オーストリア航空とアイスランド航空のB767-300ER。2枚目はオーストリア航空の新塗装機。同社は6機保有していたが、コロナ禍の影響で3機が退役した。両社ともヨーロッパでは数少ないB767現役ユーザーだ(ウィキペディア英語版より)

最もこれにはウラがあって、全く新規格の機体の開発はリスクも高く、セールスに失敗すれば経営危機に至る可能性もあった。

ちょうど日米貿易摩擦が表面化した頃で、いかにも日本側に花を持たせる様な提案だったが、裏を返せばリスクを日本に全面的に押し付けるという意図もあったのである。

日本側も充分承知しており、広大な工場敷地や生産拠点の確保が難しいなどの理由で「丁重に」断ったが、腹を見透かされたボーイング幹部は悪態をついたと言われる。

事実当初のセールスは不調だったから、日本側の予想はある意味正しかったと言える。

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1-1-1-46 B767-300ER_UNITED(N676UA).jpg ↑(2枚)B767の大手ユーザーの一つ、ユナイテッド航空。旅客型B767は200型から400ERまで全てを運用した珍しいエアライン。現在は300ERと400ERを保有。300ERはB787と交替し数年以内の退役が予定されているが、最近新塗装機(下)も登場。コロナ禍の影響で退役計画は流動的なようだ。400ERについては当面運用が続く予定(ウィキペディア英語版より)

その代わりフォローすると言う意味もあったのか、初めてののバリエーションとなる300型は、日本航空がローンチすることになったのである。

日本航空は当初から、胴体延長モデルである300型を求めていた。

ボーイング自身も、設計段階から300型を計画していたが、200型の評判が思いの外芳しくなかったことで、300型は暫く留め置かれることになっていたのだ。

そこで日本航空は止むなく200型を発注したが、同機の導入は3機に留まった。

確かに新規格の同機は、スタートこそもたついたが、実際の営業運航が開始されると極めて経済的で優秀な機体であることが証明され、興味を持つエアラインが増加した。

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1-1-1-46 B767-300ER WestJet_C-FOGJ.jpg ↑(2枚)ヨーロッパでもっとも多くのB767を運用したブリティッシュ・エアウェイズ。B767デビュー時同社は関心を持たなかったが、イギリス製のエンジン「RB211」が装備される事で導入を開始した。RB211搭載型のローンチユーザーでもある。50機以上導入したが、現在は全て退役している。下はカナダ第二のエアライン、ウエストジェットの300ER。長距離線開設に際し中古機で導入したが、すぐにB787を発注したためB767の運用期間は短かった(ウィキペディア英語版より)

200型の座席数は最大で250席とされていたが、300席級ならば・・と言うエアラインが増えたのである。

ヨーロッパでは、70年代にエアバスの処女作「A300」が既に就航しており、初の双発ワイドボディ機として成功を収めつつあった。

同機は名前の通り300席級であり、B767-200よりも座席数が多かったことから、胴体延長型が望まれたのである。

そしてようやく300型の生産が確定され、日本航空は早速発注して正式に生産が決定されたのである。

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1-1-1-46 B767-338-ER,_Qantas.jpg ↑(5枚)日本線の主力でもあったカンタス航空の300ER。同社が運用したボーイング機では、珍しくCF-6エンジンを装備しているが、これは同機が発売当初RB211エンジンの設定がなかったためだ。3枚目の「VH-ZXG」は、元ブリティシュ・エアウエイズ機を中古で購入した機体で、エンジンはRB211である。下は格安部門として設立したオーストラリアン航空に移籍した機体で、日本でもカンタス便として運航された。同社は後に本格LCC「ジェットスター」に変更したため、B767はカンタスに戻っている。現在B767はA330に交替して退役した。5枚目はビジネスクラスのキャビンで、1-2-2の座席配列が珍しい(ウィキペディア英語版より)

座席数は最大で300席を確保できたが、日本ではモノクラスで280席前後が設定された。

それでも胴体の幅が広いDC-10やA300に匹敵する数であり、その輸送力は注目に値した。

また300型は最初から航続距離延長型である「ER」が計画されていて、アメリカン航空がローンチし88年より就航を開始した。

80年代は、旅客機の経済性がクローズアップされた時代で、それまでエンジンの信頼性と言う点で長距離運航には適さないとされて来た双発機の安全性が実用化されつつあった。

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1-1-1-46 B767-300ER American_Airlines(N397AN).jpg ↑(4枚)のべ100機以上のB767-300を運用したアメリカン航空。当初は国内幹線や大陸横断用だったが、航続距離を活かして多くの国際線に進出した。中南米路線やカリブ海諸国路線の主力で、DC-10やA300を置き換えた。同機が「ETOPS120」を取得した後は、米東海岸とヨーロッパを結ぶ大西洋路線でも活躍した。21世紀になるとウイングレットを装着する改修を行って中距離線の主役を保持していたが、コロナ禍の影響で20年に全機が退役。A330とB787に交替した(ウィキペディア英語版より)

最初こそ中距離機として開発されたB767だったが、「ワイドボディ機」としては世界で初めて飛行システムを大幅に自動化し「グラスコクピット」を採用して、2人乗務機となった。

それは経済性も伴うもので、エンジンの性能と相まって航続距離はDC-10など大型ワイドボディ機に迫るものであった。

200型では、エンジンをGE製「CF-6」とP&W製「JT-9D」の2択制を取っていたが、300ERではイギリス製のロールス・ロイス製「RB211」も選択肢に加えられた。

これらのエンジンは初期の大口径ターボファンエンジンであるが、80年代には改良されており、低燃費・低公害が進んでいた。

1-1-1-46 B767-33A-ER,_Trans_World_Airlines.jpg ↑エア・カナダ、エルアル航空と並んで、最初にB767-200で大西洋横断路線を運航、ETOPS緩和を導いたトランス・ワールド航空だったが、300ERの運用は数も少なく、期間も短かった。導入した300ERは全て中古機で、同社は既に経営不振に陥っており、新造機を買う資金は殆どなかった(ウィキペディア英語版より)

これによって300型では、「ER」でない「通常型」でも航続距離は最大で約7,300キロにも達しており、「ER」では実に11,400キロまで延長された。

それは双発機に課せられていた長時間洋上飛行規制(ETOPS)を緩和させることになり、B767ではそれまでの「60」から「120」、そして「180」まで緩和されることになる。

緊急着陸まで180分と言うのは、実質的に運航不可能なルートがなくなることを意味しており、以降長距離飛行は双発機が常識となるのである。

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1-1-1-46 B767-300 ASIANA-HL7515.jpg ↑(4枚)生産された300型の多くは中距離機と位置付けられていたため、北米と日本のエアラインが中心だった。需要が増えていたアジアでは若干力不足と捉えられていたことで、採用したエアラインは少ない。上は中国国際航空、下3枚は韓国、アシアナ航空のB767-300。どちらも日本線でも活躍しなじみ深い機種だったが、日本で見られる貴重な海外エアラインの300型でもあった。アシアナ航空機は東京や大阪だけでなく、地方空港線でもレギュラーで飛来していて独特の「アシアナグレー」を纏った同機はいかにも外国風で格好良かった。同社はERも導入したが、なぜか数年で退役しA330に交替した。現在も数機の300型が現役で残っており、アジアでは唯一の存在。新しいERを先に退役させ、古い300型を運用し続けると言う珍しいエアラインだ。だが機体の老朽化は明白で、コロナ禍による経営不振、大韓航空との統合も噂されており完全な退役は近いと思われる(ウィキペディア英語版より)

日本航空の300型は当初「JT-9D-7R4D」エンジンを選択。全日空は「CF-6C2」エンジンを装備した。

双方に大きな差はないが、「JT-9D」の方がやや小振りで最大出力も小さい。

日本航空が同エンジンを選択したのは、当時多数保有していたB747、DC-10が同系列のエンジンで統一していたからだ。

全く同じ物ではないが、基本構造は共通だからメンテナンスコストと言う点で同エンジンを選んでいた。

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1-1-1-46 B767-300,_JA8980.jpg ↑(4枚)アーク塗装と現行塗装の日本航空のB767-300。1枚目の「JA8264」と3枚目の「JA8365」は初期導入のJT-9Dエンジン装備機。2枚目と4枚目の「JA8980」は最後期に導入された300型で、CF-6エンジンを装備している。外観上の区別は付きにくいが、JT-9Dエンジンの方が全体的にやや小型で、後方のコーンの露出部が多く、側面に冷却用ダクトが付いているのが特徴。「ワンワールド」塗装のJA8980は最後まで残った300型の1機で、昨年末にアメリカへ回送されている(ウィキペディア英語版より)

一方CF-6は、世界的に見ても多数派である。加えて全日空のB747は、日本航空と違ってCF-6を使っていたから当然と言える。

最もメーカーであるP&W社は、300ERが生産開始した後にJT-9Dシリーズの生産を終了。

発展・改良型の「PW4000」に生産を移行したため、日本航空のJT-9D搭載機は初期導入の11機に留まり、その後の300・300ERはCF-6に変更している。

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1-1-1-46 B767-346_JAA_JA8987.jpg ↑(2枚)JT-9Dの生産が終了した為、CF-6エンジン装備機として最初に日本航空が導入した「JA8397」。同機は日本航空B767として初めて特別塗装が施され、「ドリーム・エクスプレス」として活躍した。JT-9Dエンジン機よりやや航続距離が長かったため、台湾線を専門とする「日本アジア航空」へリースされ、オリジナルのロゴとマークを付けて運航した。日本の300型では唯一日本航空グループだけだ(ウィキペディア英語版より)

特にCF-6C2エンジンは、出力に余裕を持たせた設計にしてあり、制御システムのハードウェアを変更することで定格出力を増減出来るようになっていた。

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1-1-1-45 B767-381ER_ANA WAC (JA8286).jpg ↑(2枚)日本で最初に300ERを導入した全日空。アジア線の充実に伴い増備されたもので、様々な運航形態で運用された。グループ企業だったエアー・ニッポンが初めての定期国際線として開設した台湾線も、同機で運航。開設当時は期間限定で胴体のロゴを「AIR NIPPON」、尾翼も「ANK」に変えた機体が宛がわれていた。その後アジア線の多くをエアー・ニッポンが運航を担当することになり、全日空と共同運航することでB767も共同事業機になった。オリジナルロゴは消滅したが、機首にはANKのタイトルが記入されるようになった。同社はグループ再編で全日空本体に統合されたが、乗務員だけが「エアー・ジャパン」として受託運航と言う形に変更された。また90年代末にはチャーター専門エアライン「ワールド・エア・ネットワーク」を設立し、全日空からリースと言う形で運航を開始した。就航時だけ胴体に社名、尾翼には「WAC」と書かれた300ERを登場させたが、これは塗装の上にステッカーを重ねただけの物でデビューフライト1回だけの「激レア塗装」だった。その後は機首に「WAC」の文字を入れることになったが、同社の業績は振るわず約3年ほどで解散した。下の「JA8286」はWAC専用で運用されており、機首にロゴが入れられている(ウィキペディア英語版より)

300ERは、燃料タンクを増加し機体重量を引き上げた事で10,000キロ以上の航続距離を持った訳だが、運用によってエンジンの定格を上げ下げすることで近中距離から長距離まで効率的に運用が可能であった。

また300ERでは、ボーイング機としては初めてドアの配置をオプションで選べるようになっていた。

通常300・300ERでは、胴体片側前後に大きい乗降用ドア、中央。主翼の上付近に小型の非常口が2個並ぶ(A-Ⅲ-Ⅲ-A)

これが標準タイプとなるが、300ERでは前方に乗降口を2個、後部に1個、そして主翼部のやや後方に中規模の非常口1個を配置したタイプ(A-A-Ⅰ-A)と、非常口が小型のタイプ(A-A-Ⅲ-A)が用意された(Ⅰ、Ⅲは非常口の形状タイプの呼称)。

1-1-1-46 B767-341(ER),_Varig.jpg ↑「A-A-Ⅲ-A」タイプのドア配置を持つVARIGブラジル航空の300ER。どこかパンナムを思わせる旧塗装が、なかなか格好良い(ウィキペディア英語版より)

この中でも「A-A-Ⅰ-A」タイプは、非常口が大きいので航空法上許容される最大座席数のハイデンシティ(高密度)配置が可能だった。

日本では設立したばかりのスカイマーク・エアラインズが、このタイプをリースと言う形ではあったが初めて導入・運航した。

合計4機の300ERがこのタイプで、就航時の3機はこのドア配置を利用して座席は横8列であった。

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1-1-1-46 B767-300ER_SKYMARK JA767F.jpg ↑(4枚)新興エアラインとして設立されたスカイマーク・エアラインズのB767-300ER。上3枚の「JA767A」と[JA767B」はドア配置が「A-A-Ⅰ-A」オプションで、日本では唯一の767だった。ドア数が多い事でハイデンシティ(高密度座席)が可能で、最初の3機は横8列の配置を持っていた。そのおかげで2クラスながらも300席以上を確保していた。4枚目は通常ドア配置を持つJA767Fで、座席も7列に変更されていた(ウィキペディア英語版より)

同社は上級クラスである「シグナス・クラス」を設置していたたが、それでも309席と日本のB767では最大の座席数を誇っていた。

欧米では航続距離を活かして、チャーターエアラインの多くがこのタイプを採用。モノクラスであれば実に350席が可能だった。

B767最大の特徴は、標準座席配列が2-3-2の7列と言うこれまでに例のないレイアウトで、故に「セミワイドボディ」と呼ばれるのだが、他の「ワイドボディ機」と同じく8列配置も可能だったのである。

最もその分座席自体はやや窮屈になるが、スカイマークでは国内線のみであり、チャーターエアラインも快適性よりも輸送力が重視された結果であった。

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1-1-1-45 B767-300ER AIR DO JA601A.JPG ↑(2枚)スカイマークと同じく新規参入で設立された北海道国際航空(現エア・ドゥ)のB767-300ER。上「JA01HD」は2機目の自社発注機材、下の「JA601A」は全日空からのリース機でERではなく通常型300だ。どちらも最近退役し、自社発注機はなくなった。現在は新たに全日空から300ERを導入して更新した(ウィキペディア英語版より)

B767の機体形状は一見凡庸であるが、当時としては極めて洗練されたデザインであった。

例えば主翼は後退角が31度と、それまでのジェット旅客機としては比較的浅い角度を持つ。

更に「スーパークリティカル翼」を初めて本格的に採用した旅客機で、厚みと強度を持たせつつ高い揚力効果を持たせていた。

そのおかげで高い経済性を生みだしており、離着陸性能も小型機並みであった。

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1-1-1-46 B767-300ER Air_Canada_Rouge_(C-FMWY).jpg ↑(2枚)300・300ERを多数運航したエア・カナダと格安部門として設立したエア・カナダ・ルージュの300ER。統合したカナディアン航空機も含め、のべ80機以上を運用し、カナダ東部と日本を結ぶ路線でも活躍した。近年は大半の機体が「ルージュ」に移籍し、日本線も同社の機体が飛来していたが、後継機B787が充足した事とコロナ禍のリストラで全機が退役したウィキペディア英語版より)

このような特徴は、日本のエアライン事情にはよく合っており、「ベストマッチ」などと言われる所以である。

最もその前には、先に書いたように同機の開発と製造に日本が大きく関わっていたことが大きいのだが、国内線から国際線まで正にマルチ旅客機としての地位を獲得したのである。

90年代末には北海道国際航空(エア・ドゥ)もB767-300ERで運航を開始し、日本では4社が運用する最初で唯一の「ワイドボディ機」となった。

その後スカイマークは00年代後半に同機を退役させたが、2022年の現在まで3社で現役を続けている。

「通常型」の300は全て退役して、現役にあるのは300ERだけだが、ER自体も全日空が最初に導入のは89年だから30年以上だ(日本航空は02年で、今年30周年)。

しかも良い意味で、日本のB767-300は殆ど変化がないと言う事は特筆に値する。

敢えて取り上げるなら、全日空と日本航空は一部の機体に「ウイングレット」をレトロフィットさせたこと。

最初に改修を行ったのは全日空だが、同社はB787の納入の関係でウイングレット月の新造機も導入している。

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1-1-1-46 B767-381ER_ANA JA623A.jpg ↑(4枚)現役にある全日空のB767-300ERは、00年代に入ってウイングレット付きになった。後から取り付けられた機体と、新造機として最初から付けられていた機体がある。300型は最近全てが退役し、保有するB767は全てERとなった。ウイングレット付きの機体は国際線用で、キャビンのレイアウトも国内線用とは異なっている。B787が増えたことで年々数を減らしつつあるが、退役した機体は貨物機に改造されANAカーゴに移籍した機体もある(ウィキペディア英語版より)

両社ともウイングレット付きの機体は国際線での運用が中心だが、ない機体も国際線仕様がある。

後継機となるB787が増え、B767の数は減少していて、コロナ禍がその動きを加速させている。

それでも現時点で日本航空が29機、全日空が18機、エア・ドゥが4機、そして貨物機としてANAカーゴが9機運用している。

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1-1-1-46 B767-346ER_JAL JA618J.jpg ↑(3枚)現時点で29機のB767-300ERを保有・運用する日本航空。全日空と同様ウイングレット付きとそうでない機体が混在する。国際線・国内線双方で活躍するが、国内線の比重が高く、B777に次いで国内線ファーストクラスを設定する「3クラス」の機体も登場し、主に幹線で運航されている。機齢の高い機体は徐々に退役しているが、B767自体の退役計画は今のところない。全日空機が減少したことで、現時点で日本航空が国内では最も多くのB767を保有する(ウィキペディア英語版より)

この35年間で、日本ではのべ150機以上のB767が運用されており、全日空はアメリカン航空に続いて世界第二位の導入数を誇る。

細かな改良はあるものの、先のウィングレット装着の他、旅客型を改造して貨物機に転用した事以外は、殆ど変わらない形態で使われ続けている。

これはB767と言う機体が、非常に冗長性の高い機体であることを如実に示す事であろう。

同機はこれまで各型合わせて約1,300機が生産されているが、このうち約950機が300・300ER・300Fだ(過半数が300ER)。

発展型として更に胴体を延長した400型も作られたが、B777が登場したことで生産数は少なく、未だメインモデルは300型である。

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1-1-1-45 B767-300ER(F) ANA CARGO-JA8970.jpg

1-1-1-46 B757-300ERF ANA CARGO JA8358.jpg ↑(3枚)全日空は初期導入のERを貨物機に改造し、運用を続けている。1枚目は旧塗装。上2枚のJA8970と下のJA8358は「ETOPS180」を取得しており、旅客機時代はハワイ線に初めて投入されたB767だった。尚形式名はB767-300ER(F)となっているが、ボーイング社では改造機を示す「SF」(Special Freighter)と呼んでいる。また新造機は元々通常型「300F」だったが、生産は全てERになった為、正式には「300F」のままであるが、通常型と区別するため便宜上「ERF」と呼ぶこともある(ウィキペディア英語版より)

10年代以降、旅客機としての受注は殆どなく、後継機種であるB787やA330に移ってしまったが、実は生産ラインはまだ継続している。

確かに新造旅客機としての需要はないように見えるが、貨物型の需要はむしろ増加傾向にあり、コロナ禍が始まった20・21年の2年間でも50機以上の受注を得ている。

この他200型ベースであるが、「軍用型」として空中給油機「KC-46A」の受注も数十機残されており少なくとも向こう10年間は、生産ラインが閉じられない事になっている。

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1-1-1-46 B767-300F JAL(JA631J).jpg ↑(2枚)筆者が最も格好良いB767だと思う一つ、JALカーゴの300F。アジア方面の定期便線用として導入され、同時期のB747-400Fとともに「ポリッシュド・スキン」と呼ばれる鏡面塗装だった。一般のペイントと比べて空気抵抗が少なく、燃費低減の効果があると言われていたが、ピカピカを保つのは手間がかかり汚れやすかった。時々「無塗装銀」と言われることがあるが誤りで、れっきとした塗装機である。10機程度の導入が予定されていたが、日本航空は経営不振に陥った時期で3機の導入に留まった。直後同社は破綻し、JALカーゴは解散。貨物専用便は廃止され同機も売却された(ウィキペディア英語版より)

ボーイングでも貨物機はもちろん、旅客型の受注は停止していない。

コロナ禍で旧式化と取られてしまい、世界のエアラインでは退役が加速しているが、代わりに貨物機の需要は今後も伸び続けると予想されている。

アメリカの貨物大手フェデックスは、新造機の他改造貨物機も今後数十機単位で増備する他、業績が伸びているネット通販大手「アマゾン」が経営する「プライム・エア」も、昨年50機以上の改造貨物機を増備すると発表した。

改造はシンガポールや中国などにある整備専門会社が行う事が多いが、ボーイングでは今後の需要増を見越して自社で改造プログラムを開始している。

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1-1-1-46 B767-34AF(ER),_UPS N357UP.jpg ↑(2枚)現在最も多くのB767を保有するフェデックスとUPSの300ERF。フェデックスは新造機の他に改造貨物機の導入も進めており、コクピットをB787タイプに改修、構造材の入れ替え、操縦システムのフライ・バイ・ワイヤ化など大規模な改修プログラムを設けて、今後も長期間に渡って運用を続ける。国内及び中南米方面の他、アジア圏でも運用する。日本線ではレギュラーではないが、臨時便などで中国方面から飛来することもある。UPSは60機以上保有しており、新造機も20機以上発注している。日本には定期便機材として成田や関空に運航しているなじみ深いB767の一つ(ウィキペディア英語版より)

旅客機としての役目を終えた機体が、中古機として多くが出回っている事で、需要は多い。

新造機も生産期間が長くなったことで、価格も下がっていることから受注するエアラインが増えつつある。

またフェデックスでは、既に運用中60機のうち、機齢が高く退役予定の近い機体以外にリニューアルを独自に進めている。

コクピットはB787の準じた完全なグラスコクピット、大型LCDパネルとHUDを装備し、操縦システムを完全なデジタル式フライ・バイ・ワイヤに変更すると言う、ある意味「魔改造」とも言える大改造だ。

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1-1-1-46 B767-316F-ER,_Florida_West_International_Airways.jpg ↑(3枚)ANAカーゴで最も新しいJA605Fは、唯一ウイングレットが付いた300ERFだ。アメリカの貨物エアライン、フロリダ・ウエスト・インターナショナルが新造機で導入した機体(下)だが、同社が倒産、放出されたためANAカーゴが購入した。ウイングレット付きの300Fは極めて珍しく、世界中のファンからも注目されている(ウィキペディア英語版より)

このようにB767は、まだまだこれからも活躍する場はたくさん残されていると言えるのである。

同機は「人の手で」設計された最後のボーイング旅客機、と言われる。

B777以降は基本的にコンピューターで設計されているからであるが、アナログで作られた分「職人技」的な機体と言えるのだ。

現代の目から見れば、その姿はシンプルで、B787やA350と比べると古色蒼然に見えるかもしれない。

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1-1-1-46 B767-3Q8(ER),_El_Al_4X-EAM.jpg ↑(2枚)イスラエルのエルアル航空は、200ERで最初に大西洋横断運航を開始したエアラインの一つ。双発機の長距離運航を常識化させた立役者だ。200ERの老朽化に伴い、300ERが導入されたが、B777も運航を開始したことで中古機で購入。運用期間も200型に比べて短く貴重な姿と言える(ウィキペディア英語版より)

しかしその中身は、メカニズムこそ一世代前と言えるかも知れないが非常に堅牢に作られている。

セールスだけでなく、初期には機体の不具合が原因と思われる重大事故も発生しているが、それ以降大きな事故は起こしていない(人為的原因は別として)。

標準的なワイドボディ規格ではないことから背を向けられる事も多かった為、採用するエアラインと国は偏りが見られるが今も世界中で運用されているのは同機の持って生まれた実力があったからだろう。

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1-1-1-46 B767-316(ER),_LAN_Airlines.jpg ↑(3枚)チリを本拠とする南米最大のエアライングループLATAMのB767-300ERと300ERF。3枚目はブラジルTAMと統合する前、LANチリ時代の同機。どちらの塗装も優れたデザインで格好良いと思う。現在も現役にあり、一部の機体は2枚目の機体のように貨物機に改造されている。LATAMになってLATAMブラジルに移動した時期もあったが、現在はチリに戻っている(ウィキペディア英語版より)

個人的趣味として、シンプルさ故その姿は美しい。

ワイドボディ機に見慣れると、B767のスレンダーさがとても格好良く思えるのだ。

それでいて幅を利かすナローボディ機と比べると、やはり大型機に見えるから不思議である。

当初のコンセプトは経済性を重視した「中距離機」で、日本以外ではアメリカのメジャーやヨーロッパのチャーターエアラインがこぞって導入した。

1-1-1-46 B767-300ERF LATAM_Cargo_N534LA.jpg ↑無駄のない洗練されたデザインを持つB767。コクピットの風防は大きく、脚が長く地上での取り回しもしやすいと言う(ウィキペディア英語版より)

だが秘めた能力は長距離性能を有していた事で、今や長寿機になっていることは事実である。

さすがに今は長距離運航を行うエアラインは少なくなったが、貨物機では結構多い。

長寿であるがゆえに、面白いエピソードも多い。

例えば同機の標準巡航速度はマッハ0.87程度で、B747など大型ワイドボディ機と比べると遅い。

B737クラスよりも若干早い程度で、速度も小型ナローボディ機と大型ワイドボディ機の中間と言った感じだ。

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1-1-1-46 B767-300ER ISRAELI AIRFORCE 4X-ISR.jpg ↑(2枚)激レア部門、中央アジア・タジキスタン、タジク・エアとイスラエル航空宇宙軍(空軍)所属のB767-300ER。イスラエル空軍機は民間登録記号を持っていて、運用こそ空軍が担当しているが政府専用機として使われており、現地では「エアフォース・ワン」と呼ばれている。綺麗なスカイブルーの塗装は、南米アルゼンチン航空と似ている(ウィキペディア英語版より)

しかし長距離路線となると、それはやや不利になることもあった。

速度がやや遅めなのは、もちろん経済性を重視した結果なのだが、距離が長いと早い機体との差が大きくなってしまう。

同じ距離でも早いB747やMD-11に比べると、B767だと時間がかかってしまう。

その為混雑するルートだと、早い機体の邪魔にならないようB767の飛行高度は低めに指示されることが多かったと言う。

同じ方向に飛びながら、遥か上空を飛行機雲を引いて抜かしていくB747を見ると、パイロットは何となく悔しい気分になったそうだ。

1-1-1-46 B767-300ER HAWAIIAN N592HA.jpg ↑日本線にも投入されていたハワイアン航空のB767-300ER。長年運用していたDC-10の後継機種として、同社初のボーイング製「ワイドボディ機」でもあった。現在はA330と交替して退役した(ウィキペディア英語版より)

全日空ではERを導入した当初は国際線専用機材として運用したが、一部の機体は国内線でも運航していた。

装備するエンジンは通常型もERも同じCF-62Cエンジンだが、通常型は「B2F」ERは「B6F」とやや異なる仕様であった。

そして国内専用にERもこの「B6F」エンジンであり、定格も国際線仕様のままで運用されていた。

その為離陸滑走距離が短くて済む国内線では、パイロットが「胸のすく」ような豪快でパワフルな離陸上昇を行えたと言う。

ファンの間でも「レア機」として人気があり、パイロットもその機体に当たる事が楽しみだったそうである。

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1-1-1-45 B767-300ER ANA JA8971.jpg ↑(2枚)初期に導入された全日空の300ER「JA8971」は、唯一国内線で運用されていたER。基本的には「内際兼用機」扱いだったので、胴体タイトルは漢字と英語が併記されていた。国際線用としては予備機扱いだったので、殆ど国内線で飛んでいたが、1機だけだったのでファンからは「激レア機」と見られていた。退役前には現行であるロゴに変更され「IOJ」も記入されていた(ウィキペディア英語版より)

国際線仕様では、ビジネスクラスを含む2クラス制だが、初期の全日空機ではファーストクラスも設定されていた。

座席はファーストが2-1-2、ビジネスが2-2-2、エコノミーが3-3-3。

時々国内線で運用されることがあり、この時はビジネスクラスと共に「スーパーシート」として販売され「超乗り得」であった。

全日空は国内線用の300型は暫く普通席のみのモノクラスだったが、日本航空は国内線用の300型も「スーパーシート」が設定されていた(現在は全日空がプレミアムシート、日本航空は国内仕様のファーストクラスとクラスJが設定されている)。

1-1-1-46 B767-381(ER),_(ANA)_JA606A.jpg ↑パンダの特別塗装を施した全日空のB767-300ER(ウィキペディア英語版より)

コロナ禍で世界のエアラインはリストラを余儀なくされ、古いB767はその対象になることが増えている、

現在最も多くのB767を運用するのはアメリカで、デルタ航空とユナイテッド航空がそれぞれ50機以上を運用中である他、両社は400ERも保有している。

残念ながら両社とも数年以内にA330やB787と全面的に交替が予定されているが、400ERだけ退役計画がない。

アメリカン航空はコロナ禍によって、20年に全機を退役させたが、貨物エアラインのフェデックスとUPS、アトラス航空などは新造機・中古改造機をいずれも数十機単位で保有し、今後増備することが明らかになっている。

今のところ500機前後が世界で現役にあると思われるが、旅客機としては減少が続くが貨物機が増えていて、プラスマイナス「0」の様な状態だ。

それは同機の魅力がまだ尽きていないと言う証であろう。

一見華奢で頼りなげに見えるB767だが、実は地味ながらも「何でもこなせる」旅客機だったのだ。

無責任なファンの欲望だが、フェデックスの様な改修をすればまだまだイケるのでは・・・と思う程、古いと言うには早すぎる機体あり「レジェンド」の称号を持つに相応しい、大きな功績を遺す機体なのである。


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