飛行機ネタ A380の受難(5月24日 曇り時々晴れ 23℃)

待ち遠しかった日差し。

まだ雲が多めで「薄日」に近かったけど、1週間ぶりに空が明るい。

気温も平年以上に上がって、ずっと続いていた肌寒さも解消した。

暑いのは苦手だけど、やはり季節らしい気温でないと困る。

週間予報を見ると、来週は一転して気温は高めで推移しそうだが、期待の青空はあまり見えなそう。

空は春と夏のせめぎ合い、「梅雨」の準備が始まっているようだ。

今年は平年より数日程度早めの「梅雨入り」が予想されていて、それまでもスカッとした初夏の陽気はあまり期待できないようだ。

コロナの緊急事態宣言も、明日全面解除の見通し。

当初は「今月いっぱい」だったから、約1週間の前倒しだ。

全国的に感染者数が減ったことが根拠だが、宣言が残された都道県は少数ながらも毎日感染者が出ている。

政府・自治体は店舗の休業要請などは緩和する見通しだが、テレワークの継続・ソーシャルディスタンスの継続・消毒、マスクの着用、不要不急の長距離移動などは当面続けて欲しいと国民に訴えている。

ある意味「自粛」に慣れてしまった感があり、宣伝されている「生活様式の変化」も馴染みつつあるが、一方で「コロナは収束した」と解釈した感覚に捕われてしまうのも怖い。

この辺の判断が難しいが、いつまでも完全な自粛を続けていることも出来ないのも事実だ。

「自粛」に慣れたことで、この1カ月以上私も無駄な外出はしなくなったが、同時に世間と同じく暇も増えた。

結果ネットの動画をボーッと見てしまう事も増えたのだけど、先日適当にサーフしていたら懐かしい物に出逢った。

私は海外メディアの番組を見るのが好きで、言葉など分からないけれど面白いと思っている。

しかも最近は個人が編集してアップした過去の番組だけでなく、メディア自身がチャンネルを持っていて、ライブ配信も多い。

種類は限定されてしまうが、大半は言葉が分からないからどうでも良いし、自宅でライブの外国メディアを見れるのは面白いのだ。

それはニュース番組だったり、音楽番組だったり、日本で言うバラエティ的な番組もある。

その中でイタリアの公共放送「RAI」が放送した、「サンレモ音楽祭」の画像が目に留まった。

イタリア北部リグーリア州の港湾都市サンレモで毎年開催される音楽祭は、日本でも耳にする大きな音楽イベント。

コンテスト形式で、日本で言えば「レコ大」に近いイベントで、数十年の歴史を持つ。

出場者はイタリアのアーティストが多いが、ゲストで米英のアーティストが出演することも多い。

2月に開催された今年の音楽祭の様子だったが、イタリアはコロナの被害が最も深刻な国の一つ。

2月後半の開催となっているから、この時には既に流行が始まっていたと思うが、まだ危機感が出ていなかったのだろうか。

そこに「ゲスト」として出演したユニットが歌い始めて、「ああっ!」と思わず叫んでしまった。

聞き覚えのある歌、と言うよりも何度も聞いたのに、この瞬間まですっかり忘れていたからだ。

曲名は「マンマ・マリア」。これを聞いて「そんな曲、あったな!」と思いだした人は、間違いなく50歳以上でしょう(笑)。

ユニット名は「リッキ・エ・ポーヴェリ」と言う、3人組ポップユニット。

ユニットは60年代後半にデビューし、元々は男女二人ずつの4人組。ほどなく女性一人が脱退し、女性一人男性二人のユニットとして本国のみならず、ヨーロッパで大成功を収めた。

「マンマ・マリア」は、折しも世界中でディスコソングが大流行していた時代の82年の曲で、日本でも輸入されヒットした。

洋楽と言えば米英が大半の時代だったが、ディスコソングではヨーロッパのアーティストの多くが日本でも輸入・紹介され始めた時期であった。

90年代には「ユーロ・ビート」などと言われていたが、その先駆けだったとも言える。

この他当時の西ドイツ出身のユニット「アラベスク」「カラット5」など、米英に比べると野暮ったさが目立つものの、日本のポップスに近い感覚が大ウケした。

ただヨーロッパの曲は英語の場合と、現地語の場合があり、現地語の歌は米英や日本ではあまりウケなかった。

だがイタリアのユニットと言う物珍しさもあって、「マンマ・マリア」は日本でブームになった程だった。

私が歌を聞くまでピンとこなかったのは、ユニット名だ。

実は当時日本で発売された「レコード」は、「リッキー&ポベリー」となっていたからだ。

この名前は記憶の片隅に残っていたのだけれど、イタリア語では「リッキ・エ・ポーヴェリ」であり、英語でも同じ。

当時のレコード会社はイタリア語では分かりにくいからと、勝手に英語読みに変えて販売していたのだ。

40年近くも経って、真実を知るとは(笑)。

名前は固定名詞だから、本来勝手に読みを変えてはおかしいのだけど、そこは「時代」だったのだろう。

「リッキー&ポベリーのマンマ・マリア」で、ようやく記憶が結びついたと言う訳だ。

軽いリズムと「マンマ・マリア」の繰り返しが覚えやすく、良くも悪くも耳にこびりついてしまう曲である。

「リッキ・エ・ポーヴェリ」は、現在も現役。男性メンバーの一人は年齢を理由に引退したが、今年の「サンレモ音楽祭」では復帰。

体調に合わせて時々「ゲスト」として活動するらしく、普段は残る二人で活躍中。

3人とも70歳を超えた「おじいちゃん・おばあちゃん」ユニットなのだが、見た目はもちろん歌唱力も80年代から全く衰えていないのは、さすが音楽の国イタリアならではだろうか。

実は「リッキ・エ・ポーヴェリ」はイタリアでは国民的グループで、子供から大人まで誰でも知っていると言う大御所なのだそう。

会場では、「特別ゲスト」としてマンマ・マリアを披露したが、彼らがステージに上がると数千人の観客が一斉に総立ち。

しかも老若男女関わらず「マンマ・マリア」を合唱している程で、日本で言えばさしづめ「サザン」のようなユニットのようだ。

ついでだから他曲も聞いて見たが、米英曲とは一線を画しながらも独特のリズムや流れは、今も充分通用するものばかりだ。

似たような名前の曲が多いけれど、お暇なら「You Tube」で一度お試しあれ。結構楽しいですぞ。





飛行機ネタ。

フランスのフラッグキャリア、エール・フランスは、5月20付けで9機保有していた「A380」を「退役」させたことを明らかにした。

コロナ拡大で、同社の旅客便は殆ど運休状態にあり、同機も全機が休止状態に置かれていた。

感染拡大の被害が大きかったヨーロッパでは、少しずつ勢いが収束しつつあることから、各国では6~7月にかけて経済活動が再開される見込みだが、同時にエアラインも徐々に運航を開始できる見込みである。

しかし需要が感染前のように回復するには、最低でも3~4年間が見込まれることから、同社のA380は休止から復帰することなく「印籠」を渡された形になった。

同社によると、昨年から導入が開始されたA350やB787など、新世代のワイドボディ機を効率よく運航させることで経営のスリム化を推進して行くと言う。

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1W A380_Air_France_F-HPJJ_KMIA_NASEDIT_(33273362278).jpg ←(2枚)5月20日付けで9機全機が退役になったエール・フランスのA380(ウィキペディア英語版より)

全世界に広まった「COVID-19」は、エアラインがほぼ欠航すると言う前代未聞の事態を引き起こした。

再開されても「第二波」の懸念があるため、国際線の旅客便は当分限定的になることが予想されている。

そうなると大型機の需要は、回復できるとは考えられないと言う風潮が強まって来た。

この他にも同機を保有・運用する複数のエアラインが、退役や減数させることを決定している。

エール・フランスでは、A380を22年までに退役させる方針を公表していたが、コロナ騒ぎによる需要激減で前倒しの退役となった。

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1W A380-Air_France_Voyageur_CDG.jpg ←(3枚)エール・フランスのA380とエコノミークラスのキャビン(ウィキペディア英語版より)

この他では同じく、コロナ前から退役計画を出していたドイツのルフトハンザが、保有する14機のうち6機を前倒しして退役させることを発表している他、カンタス航空が12機のうち8機を退役させるとしている。

A380最大のユーザーで、115機も保有するUAEドバイのエミレイツ航空は今週になって約半数に当たる46機を退役させる方針であることを明らかにしている。

カタール航空も24年までに退役させる方針だったが、これも前倒しの可能性が高い。

同社は昨年、発注中だった同機39機をキャンセルし、A350に切り替えていたが、コロナの影響で更に減勢を余儀なくされることになった。

日本では昨年全日空が国内で初めて2機のA380を導入し、ホノルル線専用機材として就航して大きな話題を呼んだ。

就航してちょうど1年が経つが、この春受領予定だった最終号機である3機目はコロナの影響で受領を延期している。

現時点でキャンセルはなく、状況を鑑みて受領・就航させる予定になっている。

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1W A380-ANA_First_Class_(2).png ←(3枚)昨年大きな話題と共に就航した全日空のA380とファーストクラス。コロナ前までは良好な利用実績を重ねている(ウィキペディア英語版より)

A380は現在まで世界で14社が運用し、242機が生産・運用中。

エアライン数の割に機数が多いのは、半数近くをエミレイツ航空が占めているからだ。

それでも機体の特殊性を考えれば、大量生産の成功作と言っても良いのだが、このままいくと「失敗作」になりかねない状況になりつつある。

A380は現時点では「世界最大」の量産機であり、最大座席数と言う点でB747を遥かにしのぐ4発大型旅客機である。

物理的な大きさと言う点では、ほかにも大きな機体はあるものの、上記のように量産された商業機と言う点では「最大」である。

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1W_A380_Emirates_JP7310690.jpg ←(2枚)115機も保有するエミレイツ航空。コロナの影響で半減させることを発表した(ウィキペディア英語版より)

70年代に登場したB747は、一部「二階建て」と言う特徴を持って、大量輸送時代の立役者となったが、それは唯一無二の存在だった。

事実「二階建て」の旅客機は、747以来30年以上も実現しなかった。

A380は全長73メートルで、長さと言う点ではB747-8やA340-600、B777-300ERなどの比べれば若干小さい。

しかし世界初の「オール二階建て」旅客機であり、座席は最大で850席も設けることができる。

現実にこの座席数で運航された実績はまだないが、単純計算でB747の1.5倍。3クラスでも標準で500席以上が可能だから、747より1.3倍以上の座席数が確保できる。

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1W_A380_Lufthansa_AN1713519.jpg ←(3枚)アッパーデッキのファースト・ビジネスクラスとメインデッキのエコノミークラス。ルフトハンザのA380のキャビン(ウィキペディア英語版より)

エアバス社は90年代から、747を凌ぐ「ダブルデッカー(二階建て)機」の構想を持っており、研究を進めていた。

時代は正に大量輸送時代の真っただ中で、1席でも多い機体が今後どんどん要求されると考えていた。

だが同時に環境問題が取りざたされ、LCCなど新しい方向性が加わり始めると、大量輸送機に疑問が出始めたのである。

決定的だったのは90年代半ばにデビューしたB777で、双発機ながら10,000キロ以上の長距離性能を持ち、400~500席級と言う破格の大きさの双発機が現実のものとなったのである。

双発ながらエンジンの出力は4発機並みであり、反して低燃費・低騒音が環境基準に適合するとともに、エアラインの利益率が向上することを意味した。

エアバス社自身もA330で対抗し、世界はあっという間に双発機の時代に突入したのであった。

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1W A380 LUFTHANZA-D-AIMG@HKG_(20190302162425).jpg ←(3枚)機数は減らすものの退役はしないルフトハンザのA380、新旧塗装(ウィキペディア英語版より)



この時点で4発機の構想は途絶えるかに思えたが、座席数が増えれば乗客一人当たりのマイルコストが減らせると試算し、エミレイツ航空を筆頭にA380がローンチ。

原形機は、05年に初飛行した。

だがここにたどり着くまでは多くの時間を擁し、特に全体のデザインは最後まで決まっていなかった。

1W_A380_at_BRE_(3519263240).jpg ←テストとデモを兼ねて世界中を飛んだ原形機(ウィキペディア英語版より)

それはアメリカの大手貨物エアラインのフェデックスやUPSも同機に関心を示しており、貨物型が考えられたからである。

A380は747以上に胴体の上下寸法が大きいので、当初から貨物型は考えられていた。

しかし二階建てと言う構造上、その床部分は構造材として最初から計算に入れての設計であり、それを省く様な構造は不可能であった。

フェデックスなどは、小口の宅配貨物が主体なので、二階構造のままでも良いとしたが、そうすると貨物の搬出口が問題だった。

更に操縦室を747のように、二階部分に持ちあげればノーズカーゴドアを付けられるが、エアバス社ではそれを考慮しなかった。

パイロットが、従来の機種から移行するに当たり、コクピットからの視界をできるだけ違和感なく収めるには、二階部分ではなく1階部分か中間位置に持ってくることを考えていた。

最終的にコクピット(フライトデッキ)は「中二階」に置かれたが、結果的にこれがA380の命運を決めたのであった。

1W_A380_Air_France_(AFR)_F-HPJH_-_MSN_099_(9649161030).jpg ←「中二階」に位置するコクピット(ウィキペディア英語版より)

この形態では、貨物機のノーズカーゴドアは不可能であり、最低でもサイドカーゴドアしか付けられないことになる。

だが今度はキャブンの「二階建て」をどうするのか、という問題にぶつかった。

二階部分を貨物室にするならば、貨物の上げ下げが必要となり、空港では新たなリフトも必要になる。

そればかりか、二階部分の積載量は床の強度からかなり限定され、強化することも物理的に困難であった。

これらをクリアしたとしても、空港での貨物の出し入れに時間がかかるなど、副次的な問題が次々と噴出し、仮発注していたフェデックスとUPSはキャンセルに至り、貨物型A380計画は幻に終わった。

デザインが決定したことで、世界初のダブルデッカー旅客機は、純粋な旅客機として生産することになった。

しかし出来上がったA380は奇異としか言いようがない外観だったものの、ある意味「夢の飛行機」であった。

747でさえ「船」のような広大なキャビンは、当時「夢の飛行機」と言われていたが、A380はそれを上回る可能性を秘めていた。

エアバス社が様々なプランをデモンストレーションした中には、上級クラス向けの「シャワー室」やまるで本物のようなバーラウンジ、免税店など、およそ飛行機の中とは思えぬ設備が可能とされたのである。

オール二階建てと言う事は、床面積が2機分あるのと同じだから、最高のサービスを提供できる可能性を秘めていたのである。

加えてそれだけの装備をしても、座席数は400席以上確保できることも大きな魅力であった。

エンジンは同機用に開発された大口径ターボファンの「ロールスロイス・トレント900」と、「EA GP7270」が指定された。

このご時世に「4発機」はなおも不経済、と言う印象が強かったが、エアバスは上記のような設備を伴う上級クラスで顧客を集めれば、収益性は高いと主張した。

加えて2種類のエンジンも、21世紀型の低燃費・低公害基準をクリアしており、1機当たりの収益性はB777などに比べて高い事を特に主張した。

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1W_A380_Trent_970_engine.jpg ←(2枚)A380専用に開発されたGP7270エンジンとトレント970エンジン(ウィキペディア英語版より)

無事初飛行した原形機は、デモンストレーションを兼ねて世界中を飛び回り、同時にから緩状況での運用をテストした。

エミレイツ航空やエール・フランス、ブリティッシュエアウェイズなどが正式発注に動いたことで、同機は生産決定に至ったが、量産に向けて設計上の不具合が多発し、修正に時間がかかって初飛行は約1年遅れた。

それでも原形機は順調なテストを続けたが、同時にじっ気が出来て初めて遭遇する問題も露呈した。

ある程度予測は出来ていたのだが、あまりに巨大なため受け入れる空港側の「準備」が必要であり、それがかなり経費と手間がかかることであった。

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1W A380 BRITISH AIRWAYS-G-XLEB_landing_at_LAX_(13707990444).jpg ←(2枚)ブリティッシュ・エアウェイズのA380(ウィキペディア英語版より)

発注したエアライン側はそれを承知でのことだったが、旅客機は就航先が受け入れてくれなくては意味がない。

例えば乗客の乗降には、通常ならば前部の乗降口が、後部の乗降口を使うが、A380ではアッパーデッキ・二階部分からの乗降が必要である。

それに対応するボーディングブリッジが必要であり、施設の改修が必要だった。

もちろんメインデッキの身での乗降は可能だが、それでは時間がかかってしまう。

また同機は最大機体重量が560トンと、B747よりも50トン以上も重く、空港のアスファルトやコンクリートの強化が必須であった。

更にエンジンは747より強力なため、離着陸時における「後方乱気流」が発生しやすいため、管制都の連絡と調整も必須であった。

空港の設備は、基本的に自己負担であるため「来てもらわなくても良い」と言われれば、就航できないことになる。

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1W A380-Singapore_Airlines.jpg ←(2枚)07年に世界で最初に就航させたシンガポール航空。日本線に投入した(ウィキペディア英語版より)

また同機はオールエコノミークラスであれば800席以上と言う、とてつもない座席数を設けることが可能とされていた。

これならばチャーター便などで、大きな採算が取れると期待されたが、仮に800席を設けると緊急脱出時の追加設備が必要だった。

同機にはメインデッキ・アッパーデッキともに乗降口と非常口が作られているが、収納式の「脱出シュート」は危険などでアッパーデッキからは使用できない。

緊急時の際にはメインデッキから脱出するか、アッパーデッキに届く様なタラップを使用する他ない。

加えて座席数が多ければ多いほど、ミールやドリンクを多く搭載する必要があるばかりか、ラバトリーも増やさなくてはならない。

更に客室乗務員も増やす事になり、簡単に「薄利多売」にはならないのである。

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1W-Bathroom_on_an_Emirates_Airbus_A380.jpg ←(3枚)A380ならではの豪華装備。バーラウンジやシャワールームは一流ホテル並みだ(ウィキペディア英語版より)

このためアッパーデッキまでオールエコノミーと言うエアラインはこれまで出現せず、非現実的な話になってしまった。

現状ではエミレイツ航空が中距離仕様として2クラスの機体が、合計615席で運航するのが最大で、これはかつて全日空がB747-400Dで記録した586席を上回る最大の座席数になっている。

因みに2機運用する全日空のA380は、ファーストクラス、プレミアムエコノミークラスを含む4クラス525席で運航するが、こちらも「4クラス」としては世界最大の座席数記録になっている。

不具合の修正を完了し、07年にシンガポール航空が最初に営業便を就航させ、日本はその目的地と言う名誉を貰う事になる。

同社を始め、導入した各社は上級クラスに力を注ぎ、UAEアブダビのエティハド航空の「レジデンス」のように、ファーストクラスより「上」のクラスまで現れた。

これはアッパーデッキ最前方に僅か「2室」の特別席で、文字通り完全な個室としたクラスだ。

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1W-A380_The_Residence_Apartment_Etihad_Airways_ITB2015_(1).JPG ←(2枚)エティハド航空のA380と「ザ・レジデンス」(ウィキペディア英語版より)

シンガポール航空、エミレイツ航空、カタール航空などはファーストクラスを「準個室」のようにして、完全なプライベート空間を提供する。

座席はもちろんフルフラットのベッドになるほか、32インチの大型液晶モニターや完全なネット環境など、まるで高級ホテルのような空間を提供している。

一方ヨーロッパ系のエアラインは、専用ではあるものの一般的な上級クラスとして座席数を多めに取っている事が多い。

それでも通常より高級感は高く、上級クラス向けのバーラウンジや免税ショップなどは人気が高い。

A380を導入したエアラインは、主力機と言うよりも「シンボル」的な役割を果たす事で、あえて同機を「選んで乗る」対象になった。

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1W A380-Singapore_Airlines_in_SG50_livery_(2).jpg ←(2枚)カタール航空とシンガポール建国50周年塗装のA380。前者は全機退役予定(ウィキペディア英語版より)

だが問題は「それまで」であったことだ。

A380は、融通性に欠けるのである。

コロナのように、現代は世界が突発的な事件で大きく情勢が変動する。

冷戦時代のような政治的緊張は減少したものの、テロのような国際犯罪や自然災害が増え、それは当事国だけの問題に留まらなくなっている。

グローバル化が進んだことで「対岸の火事」で傍観することが難しくなり、特に経済事情は連鎖の連続である。

エアラインもそうした不安定な情勢に過敏なほど反映されるので、経営と運用も危機管理能力が高く問われるのである。

LCCの台頭で、飛行機はもはや世界中で「生活用品」のように手軽な乗り物になって、以前のような高価で特別な乗り物ではなくなってしまった。

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1W_A380_Qantas_(6058867734).jpg ←(2枚)カンタス航空は12機中8機を退役させ、残る4機は北米線専用機として運航を継続させる(ウィキペディア英語版より)

その傾向は90年代から現れていたが、A380はそれを逆行するかのように、そして飛行機の価値観を新たにしようと言う試みの機体であった。

しかしその特殊性から、現代の潮流そのものに逆行した形になってしまっている。

B747が登場した時、アッパーデッキは座席ではなくファーストクラス専用の「ラウンジ」として使われたことがある。

アッパーデッキがナローボディ機のように狭かったからだったが、今では考えられない贅沢な使い方だ。

日本航空では同じファーストクラスながら、さらに追加料金で「スカイスリーパー」の名付けたベッド席にしたこともある。

飛行機は高価な乗り物で、上級クラスもセレブだけが使う時代だったからだ。

最近では顧客獲得のため、エアラインはマイレージサービスが当たり前となり、マイルをためて差額なしで上級クラスを使えるようになったが、それはエアラインの首を絞めることにもなった。

高額運賃を撮れないばかりか、わざわざお金を支払って乗る乗客からクレームが多く寄せられる事になり、上級クラスの利用率が低下した。

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1W_A380,_Korean_Air_AN1977682.jpg ←(2枚)ニューヨーク線など主幹路線で運用する大韓航空。「ナッツリターン事件」で不名誉も受けてしまった(ウィキペディア英語版より)

そこでマイレージによる「アップグレード」を事実上限定し、代わりに「プレミアムエコノミークラス」を提供するようになったことで、再び上級クラスは「儲かる」座席に戻ったかのように見えた。

だがそれは70年代の「懐古趣味」に過ぎず、利益よりもコストの方が高くつくようになってしまった。

ところが物理的な問題や、需要の問題から、上級クラスを減らしてエコノミークラスに転換することもままならない機体であることにエアラインは困惑することになる。

下手に特別な装備を付けていることで、クラス変更には膨大な時間と経費がかかるのである。

通常の機体であれば、座席数にもよるが上級クラスの数を増減することは普通に行われるが、A380ではそれさえも困難な機体なのだ。

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1W A380-Asiana_Airline_HL7634_(17765412761).jpg ←(2枚)アシアナ航空のA380(ウィキペディア英語版より)

先日ルフトハンザの子会社で、整備や改修を担当する「ルフトハンザ・テクニーク」が、余剰となりつつあるA380を、貨物機に改修する計画があると発表した。

幾つかのエアラインから打診されたとして、現在計画段階として詳細の明言は避けたが、業界では疑問視する向きが多い。

先に書いたように、A380は「旅客機」として特化させた構造を持たせていることから、今更貨物機への転用は難しい。

貨物用ドアは増設できないため、通常のドアで搬出する以外なく、内部もせいぜい座席やギャレー、ラバトリーを撤去する程度にしかできないというのだ。

貨物型を断念した理由が、今度も付きまとっており、いかに同機に融通性が伴っていないかを物語る。

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1W_A380_tail_camera.jpg ←(2枚)A380のコクピットと垂直尾翼先端に設置されたカメラ画像。座席でも見ることができる(ウィキペディア英語版より)

ルフトハンザ・テクニークは「あらゆる可能性を考えている」としているが、業界の見方は厳しいようだ。

エアバス社では、昨年に「今後新たな受注がなければ21年に生産を中止する」と発表していたが、コロナの影響で今後新たな受注はほぼ絶望と見て良いかと思う。

エミレイツ航空が大量にキャンセルしたことで、受注残も減少した。

エアバス社では発売当時、採算ラインを270機と見込んでいたが、開発の遅延や大量のキャンセルなどに翻弄され、現在では450機以上売れないと採算割れになるほど価格も高騰してしまった。

1W A380 HI FLY MALTA-9H-MIP@TSN_(20200515140103).jpg ←唯一「中古」のA380でチャーター運航を行うハイ・フライ・マルタ。キャビンは3クラス(ウィキペディア英語版より)

現在同機が最も集中するのは北米で、保有するエアラインの殆どが運航している。

これは目当てとなる上級クラスの利用が最も機込めるのが、アメリカ・カナダであるからだ。

A380はエコノミーが満席よりも、ビジネスクラス・ファーストクラスが満席であることが儲かる機体。

故にコロナが引き起こした世界的不況で、今後その需要が大幅に落ち込むことは明らかだ。

エール・フランス以外では、機数こそ減らすが完全退役にはしない予定なのが、ファンにとっては救いと言えるだろうか。

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1W_A380_China_Southern_Airlines_(7470795654).jpg ←(2枚)中国で唯一A380を保有する中国南方航空(ウィキペディア英語版より)

だが「夢の旅客機」は、就航後僅か13年足らずで最大の苦境に追い込まれている。

しかもそれを挽回する要素が、きわめて少ない。

でもA380にしかない特徴は、エアラインによって今後も活かせるチャンスは充分に残されているはずである。

これまでと同じく「シンボル」として、乗客が乗りたいと選ぶ飛行機に徹することだ。

それには通常便と比べられる、複数便運航の路線の方が適しているだろう。

需要の変動が大きいと、超大型のA380はすぐに「採算割れ」になってしまう。

いわば「ハイリスク・ハイリターン」に近いのだ。それならば遥かに経済的なB787やA350で良い・・となっても仕方ない。

生き残るためには、A380らしいやり方がより求められるだろう。

少なくともコロナのせいで、「過去の機体」に追いやられるのはまだ早すぎる。

機齢からしても、あと20年は充分飛べる機体なのだから。

なお日本にはこれまで運用エアラインの殆どが飛来しているが、需要の上下動が大きく、殆どが季節限定運航になっている。

コロナ前ではエミレイツ航空とタイ国際航空がレギュラー運航をしていたが、ご存じの通りタイ国際航空は先週事実上の破綻した。

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1W A380-Thai_Airways_International_HS-TUB_(14019580973).jpg ←(2枚)破綻で去就が注目されるタイ国際航空のA380(ウィキペディア英語版より)

具体的なリストラは未定だが、A380は退役になる可能性が高い。

運用14社のうち、地中海のマルタ共和国に本拠を多くチャーターエアライン「ハイ・フライ・マルタ」が、世界で唯一「中古」のA380を1機保有しているが、正確にはルフトハンザからのリース機。

北米・南米で導入したエアラインは1つもなく、アフリカも同様。

意外なことに中国のエアラインでは、中国南方航空だけが採用しており、唯一日本への飛来実績がない。

逆に韓国では大手2社とも保有し、主に北米・ヨーロッパ線で運用されるが、季節需要の間合い運用で日本にもたびたび飛来している。

この他カンタスのA380も、北米線専用機材で来日経験がない。

1機も保有していないアメリカが、世界中のA380が飛来していると言う奇妙な現象も起きている。

だが「コロナ後」を見据えた場合、落ち着いたらA380の新たな用途が見つかる可能性も大きい。

今後各社から一気に大量の機体が放出することが予想され、情勢から見て中古価格は低落すると思われる。

だが殆どの機体は製造後10年前後と「新品同様」であり、使い方次第では「お買い得」になるかも知れない。

あくまで計画だが、公表されているだけで70機ものA380が退役することになる訳だから、中古価格は安くなるだろう。

エミレイツやルフトハンザ、ブリティッシュ・エアウェイズや全日空は、現時点で同機の全機退役予定はなく、エアバス社も生産停止後しばらくは充分なサービス体制を維持することを公表しており、新たに中古機で運用開始するエアラインが出ても充分対応は出来るだろう。

コロナの影響で原油価格も下落していることから、途上国のエアラインなどが輸送力確保に同機の導入へ動く可能性もあると思う。

出現時は「期待の大型新人」として騒がれたA380だが、「プロ」の道はなかなか険しかった。

と言うよりも潮流に上手く逆らえなかった・・とも言えるかも知れない。

でもその能力は、今後もっと活かせる可能性も捨てきれない。

現時点では、しばし「お休み」と言う事と思いたい。

「不経済」と言うだけでは、A380に取ってあまりに酷すぎる理由だろう。





コロナはもう良いのか・・・ちょっと不安になる。

経済活動が再開するのは結構だが、2カ月に及ぶ規制でこの国の事情は大きく変化した。

「生活様式の変化」と言うけれど、大きな物を失った人もいる。

コロナは収束しておらず、一時的に落ち着いている・・だけだと認識したい。

同時に元に戻るのではなく、再び流行が広まった場合に、今度こそ落ち着いて対処できるように、官民一体で備えるべきだ。

一緒にしてはいけないけれど、東日本大震災で培った「絆」や「連帯」は、9年の間に大いに薄れていると思う。

我々の先祖は、過去に何度も災害、そして「疫病」を乗り越えて来た。

医学が未発達の時代でも、多くの犠牲を出しながらもこの国を守っていたから、今の日本がある。

コロナの事も、そのうち「歴史」になるだろう。

未来の日本人たちに「2020年の日本人って、凄かったんだな、頑張ったんだな」と言われるように。

この瞬間が大変だけれど、未来を見ることも大事なことだと思う。




元気ですか?

今日は良い一日でしたか?

体調はどうですか?

風邪など引いてませんか?

今日は久しぶりに大空が見えましたが、君も見たでしょうか。

明日も青空が見えそうで、気温もずっと上がりそうです。

外へ行くなら、薄着でも大丈夫そうです。

今週は本当に寒く、君も重ね着したと思いますが、今度は一転しそうです。

身体が悲鳴を上げるかも知れませんので、体調管理には気をつけて下さい。

明日もどうかお元気で。

君に笑顔がありますように。

お休みなさい。




月立ちし 日より招きつつ うち偲ひ 待てど来鳴かぬ ほととぎすかも(万葉集巻十九 4196 大伴宿禰家持)

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